2011 Fiscal Year Annual Research Report
耐凍剤および氷結晶の3次元計測に基づく生殖組織の凍結保存
Project/Area Number |
22500393
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
都 甲洙 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (40385993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嘉兵 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20059778)
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Keywords | 生体材料 / 細胞・組織 / 凍結保存 / 氷結晶 / 耐凍剤 / 近赤外分校イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は,生殖細胞の最適な凍結法を解明するために,近赤外分光イメージングにより耐凍剤の相変化,氷結晶の計測法を開発し,この手法により耐凍剤の相変化および氷結晶の3次元構造に基づき生殖細胞の最適凍結保存法を解析することにある. 本年度は,近世外分光法による水と氷結晶の吸収波長帯の確認,生牛肉内における氷結晶の計測法を確立した.水と氷結晶の吸収波長は,近赤外分光スペクトロメータに冷却部を取り付けることにより,その温度を25℃から0℃まで,5℃間隔で,氷結晶は0℃から-15℃まで,2.5℃間隔で下げながら計測した.水の吸収波長は1360nm~1600nmであり,水の吸光ピークは1455nmであった.氷結晶の吸収波長は1360nm~1625nmであり,氷結晶の吸光ピークは1495nmであった.水と氷結晶の吸光ピークを比較すると,1455nmと1495nmで40nmの差が表れた.生体組織として,生牛肉の筋繊維(直径4mm,長さ20mm)を用いた.筋繊維は,EG水溶液0Wt.%(未処理),20Wt.%,40Wt.%,60Wt.%に,60min浸透させ,-60℃で12hr凍結した.生体組織は,EGを浸透させた細胞組織と氷結晶の2成分系として見なし,氷結晶の吸収波長の分光画像を取得した.氷結晶の吸収波長で得られた分光画像では氷結晶の輝度が低く(暗い),細胞組織の輝度が高く(明るい)計測された.また,EG20 Wt.%における氷結晶は,EG0 Wt.%より小さいことが計測れた.氷結晶は,EG濃度が高くなる伴い小さくなりことが分かった.高濃度のEGを浸透させた筋繊維では細胞内凍結が計測された.これは,氷結晶の成長を抑制する耐凍剤としてのEG影響であると考えられる.耐凍剤(EG 30Wt.%)の相変化は,異なる条件下における相変化前後の分光画像計測は可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度,近赤外分光イメージングによるエチレングリコール(Ethylene Glycol:EG)水溶液の可視化手法を確立した.本年度は,昨年度確立したEG水溶液の可視化手法により,(1)耐凍剤の相変化,(2)生牛肉内における氷結晶の計測法を確立し,(3)この手法を卵巣組織内における氷結晶計測に適用することとした.耐凍剤(EG30 Wt.%)の相変化は,異なる条件下における相変化前後の分光画像計測は可能になった.今後,同一条件下における相変化前後の計測する必要がある.また,生牛肉内における氷結晶の計測法を卵巣組織内氷結晶計測適用する.
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Strategy for Future Research Activity |
耐凍剤(EG30 Wt.%)の相変化は,異なる条件下における相変化前後の分光画像計測は可能になったものの,同一条件下における相変化前後の計測する必要がある.光は分光されることにより,そのエネルギーが低くなる.また,相変化前後における物質の吸収エネルギーに差がある.分光エネルギーの増大および顕微鏡カメラなどの工夫し,同一条件下における相変化前後を計測する.確立された生牛肉内における氷結晶の計測法により,EG濃度,浸透時間,凍結条件などの相互関係と氷結晶の関係を把握した上,卵巣組織内氷結晶計測適用する.
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Research Products
(1 results)