2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500394
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
松浦 哲郎 摂南大学, 薬学部, 准教授 (20268494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉木 淳 独立法人理化学研究所, 実験動物開発室, 室長 (40212310)
尾崎 清和 摂南大学, 薬学部, 講師 (40268496)
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Keywords | 先天異常 / Coloboma / 動物モデル / 病理 |
Research Abstract |
眼colobomaは虹彩・網膜・脈絡膜等の眼球構成組織を欠損するヒトの先天異常であるが、モデル動物は少なく、治療法や遺伝的な原因解析はほとんど進んでいない。我々が発見した眼coloboma系統マウス・ラットはヒトの眼colobomaと極めて形態的に似た病態象を示す。この貴重なモデルの病態について形態学的・遺伝学に解析を進めることで、ヒトの眼colobomaの疾患原因を明らかにし、治療への足がかりに寄与できると考えている。眼colobomaでは正常な眼杯裂縁の基底膜崩壊機構に傷害があると考えられている。本年はこの眼杯裂縁の基底膜崩壊機構に焦点をあて研究を進め、成果を発表した。正常マウス胎児について、眼杯裂閉鎖期の基底膜の消失と同時期の基底膜成分を基質とするprotease活性をin situ zymogrphy法により検索した。その結果、胎生12日にgelatinを基質とするprotease上昇のピークが存在することが判明した。CollagenIVに対する免疫染色を実施した結果、眼杯裂縁の基底膜は消失を開始していた。基底膜崩壊機構にはマクロファージの関与も示されているが、F4/80抗体を用いて免疫染色した結果、protease活性部位に一致して陽性反応を示した。さらにマクロファージ内の顆粒はCollagenIVを基質とするMMP2にも陽性であった。したがって、正常発生では内部にMMP2陽性の顆粒を有するマクロファージが眼杯裂縁近傍に集合し、これが基底膜を消失する可能性が高いと推察された。一方、眼杯裂閉鎖不全を示すFLS胎児では眼杯裂縁近傍におけるマクロファージ集族は明らかに低く、prorease活性の一過性の上昇も認められなかった。 以上から、マクロファージ由来のgelatinase Bの上昇がないことがFLSマウスでは眼colobomaを誘発すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の一つである眼colobomaの発生原因が解明された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、FLSマウスにおける基底膜崩壊機構を阻害する原因遺伝子について解明を行っていく。
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Research Products
(7 results)