Research Abstract |
本研究では,ストレス性疾患の早期診断を可能とするために,これらの疾患と関連性が強い特定の唾液中ホルモンを指標(バイオマーカー)とし,その検出に抗原-抗体反応を用いる高感度なイムノセンサを開発することを最終目的としている。本年度は,イムノセンサの基本構造の考案と,連成解析による流体制御機構の基礎設計を行った。 1.イムノセンサの考案主反応を垂直流路で行い,分子認識に用いられなかったサンプル中のホルモンや標識抗原を水平流路の毛細管現象で吸引されて除去される流体制御機構を考案した。 2.連成解析による流体制御機構の基礎設計有限要素法を用いた連成解析ソフトウェア(計測エンジニアリングシステム・COMSOL)を用いて,物質拡散現象(ナビエ・ストークスの式)と化学反応速度(ミカエリスーメンテンの式)の連成解析を行い,微細流路や毛細管現象を考慮しつつ化学反応速度をシミュレーションした。サンプル量,垂直流路・水平流路の形状寸法,反応時間をパラメータとし,未反応の標識抗原を効率的に除去できる条件を求めた。その結果,唾液中に含まれるコルチゾール濃度範囲である0-10ng/mlを分析するには,電極直径3mm,流速200μl/min,サンプル量50μlの条件を選定することが最適であることが示された。 極微量な生体サンプルを有効利用するために,撥水機構を考案し,その基本特許を出願した。また,本研究の成果は,国内外の学術論文5編,国際会議2件等で報告した。
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