2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン分析のための流体制御を利用した非侵襲イムノセンサの開発
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22500400
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山口 昌樹 岩手大学, 工学部, 教授 (50272638)
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Keywords | 計測工学 / 生物・生体工学 / 分子認識 / 流体工学 / ストレス |
Research Abstract |
本研究では,ストレス性疾患の早期診断を可能とするために,これらの疾患と関連性が強い特定の唾液中ホルモンであるコルチゾールを指標(バイオマーカー)とし,その検出に抗原-抗体反応を用いる高感度なイムノセンサを開発することを最終目的としている。本年度は,流体制御機構を利用したイムノセンサの試作と,試作したイムノセンサの感度検証を行った。 1.流体制御機構を利用したイムノセンサの試作主反応を垂直流路で行い,分子認識に用いられなかったサンプル中のホルモンや標識抗原を水平流路の毛細管現象で吸引して除去する流体制御機構を試作した。12×20×0.6mmの大きさの小型白金電極を試作し,自己組織化単分子膜で抗コルチゾール抗体を効率よく固定化することで,イムノセンサを構成した。 2.イムノセンサの感度検証試作したイムノセンサの検量線を求めたところ,唾液中に含まれるコルチゾール濃度範囲である0-10ng/mlにおいて,決定係数R2=0.98,変動係数CV=8.1%で分析ができることを実験的に示した。また,ヒト唾液での分析においても,夾雑物質の悪影響はなく,濃度分析が行われた。つまり,未反応の標識抗原を効率的に除去することが適切に行われるようになった結果,病院内で使用されている臨床自動分析装置と同等以上の性能を有する小型センサを試作できたことになる。 また,本研究の成果は,国内外の学術論文6編,学会発表3件,著書1編等で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において,本年度の課題とした流体制御機構を利用したイムノセンサの試作と,イムノセンサの感度検証を実施し,目標数値をクリアする実証データが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って,本研究で考案した高機能唾液採取方法の試作・評価を進め,それを本年度試作したイムノセンサと組み合わせてシステム化を図ることで,唾液採取から分析までを可能とするストレスホルモンの分析装置を構築する。試作装置の臨床評価に関しては,東日本大震災対応のため岩手大学が運営している岩手県沿岸復興支援事業の「心のサポートプロジェクト」等と連携することで,災害ストレスに苦しむ市民の支援へと繋げる。
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Research Products
(11 results)