2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500401
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 学 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50226007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西舘 泉 東京農工大学, 共生科学技術研究科, 講師 (70375319)
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Keywords | 脳 / 組織活性 / OCT / 拡散光反射 / 分光計測 |
Research Abstract |
組織活性とは、組織内のATP濃度と考えられ、組織温度は、全代謝においてATP生成の反応速度を律する。組織温度を下げるとATPの生成レートと消費レートが共に低下し、20℃付近では生成は停止し、能動輸送による消費によりATPが枯渇し、神経組織は機能不全になることが報告されている。そこで、周期的に組織活性を制御する目的から、組織温度を周期的に変化させて、OCT信号変化との関係を検討した。 測定1 : 頭蓋骨を研磨した麻酔下のラットの胸部2箇所に心電測定用の電極を埋めこみ、組織温度を下げる場合は、胴体部を冷水パッドで覆い組織温度が20℃付近になるまで、心拍信号とOCT画像の測定を行った。組織温度が20℃付近になった時点で冷水パッドを除き、胴体部に敷いてあるシートヒーターで加温し、組織温度が、30℃付近になったら、再度、冷水パッドを用いて組織温度を低下させた。これを550minに渡って4周期行い、OCT信号との相関関係を検討した。OCT画像と心電信号の測定は、10min間隔で継続的に行った。脳組織の三次元断層画像は領域4x4x2.9(深さ)mm^3である。測定は、4匹のラットに対して行われ、OCT信号と組織温度では、相関係数の平均値が-0.411、0CT信号と心拍数では、-0.480が得られた。このように負の相関係数より、ATP濃度の低下に伴い、OCT信号増大の関係が示唆された。 測定2 : in vitoラット脳でのATP濃度変化を分光学的に得ることは、OCT画像信号とATP濃度変化との関係解明に有用である。そこで、ヘモグロビンの酸化還元状態で吸収スペクトル変化の少ない波長1.1μm以上の領域で、ATP濃度変化と関係深いCcOの吸収スペクトル変化に着目し、心停止に伴ってATP濃度が減少する結果が得られた。これは、OCT画像測定と同時に分光学的にATP濃度の増減を示す情報が得られる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 .OCT信号と組織温度の負の相関係数が得られ、これは組織活性低下に伴い、OCT信号が増大することを示唆している。 2. in vitoラット脳を用いて、心停止の際、分光学的にもATP濃度低下を示す結果が得られ、OCT画像測定との同時測定により、ATP濃度増減に関する情報が得られる可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
脳組織活性の指標として、すでに麻酔の深さの指標に用いられている脳波から得られるエントロピーに着目し、OCT信号と組織活性との関係を検討する。ATP濃度、麻酔の深さ、エントロピーの関係はすでに論文等で報告されているので、OCT信号と麻酔下の脳波から算出したエントロピーとの関係を明らかにすれば、OCT信号とATP濃度との関係解明が進展することが期待される。
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