2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ガストランスミッターデリバリーによる末梢循環改善方法の開発的研究
Project/Area Number |
22500403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水野 理介 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30273080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一色 政志 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70302734)
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Keywords | 大動脈 / 抵抗血管 / 平滑筋 / 内皮細胞 / システイン / 硫化水素 / 一酸化窒素 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
C57BL/6Jマウス摘出血管(大動脈ならびに腹筋抵抗血管)における内因性H_2S産生と血管に対する外因性H_2Sの反応性をex vivoの実験系で検討した。その結果、1)大動脈はH_2Sの基質であるシステインによって収縮反応を示した。このシステインによる収縮反応は、内皮細胞剥離処置、PAG(非選択的CSE阻害薬)処置、L-NAME(NO合成阻害薬)処置、TEMPOL(活性酸素種除去剤)処置によって消失した。2)大動脈は、H_2SのドナーであるNaHSによって二相性の反応(低濃度における収縮と高濃度における弛緩反応)を示した。H_2Sによる収縮反応は、内皮細胞剥離処置、L-NAME処置、TEMPOL処置によって消失した。H_2Sによる弛緩反応は、ODQ(グアニレートシクラーゼ阻害薬)処置によって消失したが、TEA(非選択的K^+チャネル阻害薬)処置およびグリベンクラミド(選択的ATP感受性K^+チャネル阻害薬)処置の影響を受けなかった。3)大動脈のシステインによる収縮反応は、内皮細胞におけるCSE-NO-活性酸素種のクロストークを介して発現し、高濃度のH_2Sによる大動脈弛緩反応は、大動脈平滑筋のグアニレートシクラーゼ活性化に依存する事が判明した。4)腹筋抵抗血管(最大径~150μm)は、筋原性収縮を有する事が判明した。5)腹筋抵抗血管はシステインによって拡張反応を示した。このシステインによる拡張反応は、内皮細胞剥離処置の影響を受けなかったが、PAG処置によって一部消失した。6)腹筋抵抗血管は、NaHSによって用量依存的な拡張反応を示した。7)腹筋抵抗血管のシステインによる拡張反応は、内皮細胞非依存性すなわち平滑筋CSE活性化を介する事が示唆された。これらの結果から、システイン-CSE-H_2Sカスケードを介する血管反応性は、血管の形態学・機能学的特性に対応して著しい相違の存在することが明らかとなり、弾性血管と抵抗血管におけるこのカスケードによる緊張性制御機構の生理学的意義を報告できた。また、これらの基盤研究結果はアミノ酸を応用した循環器疾患治療の橋渡し研究に重要な知見を提示できた。
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Research Products
(1 results)