2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸素運搬できないヘモグロビン濃度の光を用いた無侵襲高精度計測
Project/Area Number |
22500405
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
庭山 雅嗣 静岡大学, 工学部, 准教授 (40334958)
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Keywords | 近赤外分光法 / 一酸化炭素 / ヘモグロビン / 空間分解法 |
Research Abstract |
本年度は、酸素運搬できない一酸化炭素ヘモグロビン(COHb)及びメトヘモグロビン(MetHb)の濃度を精度良く定量化するための基礎的な検討として、光センサ配置の最適化法と精度の良い解(O2Hb、HHB、COHb、MetHbの濃度)の決定法を考案するために、光伝播の理論解析と装置開発、基本特性試験を行った。 理論解析:生体組織中の光伝播をモンテカルロシミュレーションで解析した。表皮、真皮、脂肪、筋肉の層構造を考慮し、各層の厚みや光学定数が測定値に及ぼす影響を定量的に把握した。多数の状態を考慮した反復演算であったが、汎用のPC5台を用いて約2ヶ月で解析を完了した。可視と近赤外領域(520~850nm)の解析を進め、各波長における効果的なセンサ配置距離を決定することができた。 装置開発と基本特性試験:広波長帯域に対応した装置にするために光源として8波長LEDを使用し、6つの光センサを光源から異なる距離に配置し、波長、皮膚や脂肪の厚みなどに応じて最適な距離の受光データを選択して測定できるようにした。生体模擬試料を用いた実験の結果、理論解析の同様の傾向を確認でき、さらに実際の計測におけるS/N比を定量的に評価した結果、680nm~830nmの範囲での測定がCOHb濃度算出に適していることなどが明らかとなった。 これらの成果は第17回医用近赤外線分光法研究会で発表するとともに、詳細な結果を加えた論文を学術雑誌へ投稿した。
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