2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングのためのマルチモーダル量子ドット造影剤の開発
Project/Area Number |
22500407
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神 隆 独立行政法人理化学研究所, ナノバイオプローブ研究チーム, チームリーダー (80206367)
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Keywords | 生体イメージング / マルチモーダル / 量子ドット / 造影剤 / 蛍光 / 近赤外 |
Research Abstract |
本研究課題における研究目的は、近赤外発光半導体量子ドットを基盤として、生体のマルチモーダルイメージング用造影剤を開発することである。生体では、ヘモグロビンなどをはじめとする内在性色素が多量に存在するため、可視領域(400-650nm)の光は組織にほとんど吸収されてしない透過しない。これに比べ、波長領域700-1500nmの近赤外光は、可視光に比べ高い生体透過性を示す。研究開始初年度では、近赤外波長700-900nmにおいて50%以上の発光量子収率を示す半導体ナノロッド(CdSeTe/CdS)の合成法を確立した。これらの高輝度近赤外量子ドットを用いることにより、深さ数ミリの生体深部蛍光イメージングが可能となった。しかし、さらに深部の光イメージングをおこなうには、発光波長をさらに長くする必要がある。発光波長が長くなると生体組織による光の散乱強度が低下し、生体透過性が増強されるからである。平成23年度は、半導体ナノロッド(CdSeTe/CdS)よりもさらに長波長(900-1500nm)で発光する近赤外量子ドットの開発をおこなった。この波長領域でバンドギャップを有する半導体として硫化鉛(PbS)があげられる。高輝度発光するPbS量子ドットとして、水溶液系および有機溶媒系での新規合成法を開発した。水溶液系での合成で得られたPbS量子ドットの発光波長は900-1100nmで、発光の量子収率は10-15%であった。有機溶媒系での合成で得られたPbS量子ドットの発光波長は1000-1500nmで発光の量子収率は40-60%であった。また、これら近赤外半導体量子ドットに磁性をもたせた(光/MRI/CT)マルチモーダル半導体ビーズの合成にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体イメージングのためのマルチモーダル造影剤の開発において鍵となる高輝度発光近赤外半導体量子ドット及び酸化鉄微粒子および近赤外量子ドット包埋シリカビーズによるマルチモーダル(近赤外蛍光/MRI)造影剤の合成法が確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチモーダル(近赤外蛍光/MRI)造影剤の生体での蛍光特性およびMRIコントラスト等のプローブ基本特性、細胞毒性などを評価した後、乳癌モデルマウスにおいて癌腫瘍のマルチモーダルイメージングの実証試験を行う予定である。生体深部でのマルチモーダルイメージングには、プローブの蛍光輝度やMRI造影能などのさらなる改善が必要になるものと予想される。
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