2010 Fiscal Year Annual Research Report
TiO2光触媒反応による細胞誘導死の機構の解明と新規分子標的癌治療法開発への展開
Project/Area Number |
22500421
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
姚 燕燕 (財)神奈川科学技術アカデミー, 重点研究室光触媒グループ, 研究員 (90381574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 斉 (財)神奈川科学技術アカデミー, 重点研究室光触媒グループ, 研究員 (00381666)
窪田 吉信 (財)神奈川科学技術アカデミー, 重点研究室光触媒グループ, 研究員 (10106312)
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Keywords | TiO_2細胞毒性 / ヒートショックプロティン / Akt生存シグナル伝達因子 |
Research Abstract |
光触媒反応に誘導される癌細胞死のメカニズムの解明を目的としている。まずは、適切な細胞の処理条件を選定するため、光照射しないで、様様なTiO_2使用量のヒト膀胱癌細胞(T24)に対する毒性試験を行った。その結果、10μg/ml(0.001%)のTiO_2の使用量は細胞の生育に影響しないことが判明した。この使用量で、3時間UV照射(1mW/cm^2)で処理したT24細胞の細胞内ヒートショックプロティンファミリー(Hspファミリー)について検討した結果、各種Hspファミリーの細胞内発現に不調性が確認された。HSP90の発現は照射時間に伴って低下したが、低分子のHSP27が増加していった。しかし、HSP70とHSP60は依然として発現が高く、変化はしなかった。また、HSP90をコードする遺伝子を分析したところ、hsp90mRNAはUV照射1.5時間までに一旦上昇したが、その後低下していたことを判明した。近年、各種Hspファミリーは細胞内重要な分子シャペロン機能をしていることが明らかにされた。特に、HSP90は細胞の生存シグナル伝達因子Akt、また細胞死関連タンパク質キナーゼ(DAPK)など、細胞の生死を担う重要なたんぱく質の発現と安定と活性化を調節していることが明らかになっている。そこで、我々は、同様な光触媒反応条件で処理した細胞内AktとPhospho-Aktについて分析を行った。その結果、トータルAktもPhospho-Akt同時に低下したことが分かった。また、MAPキナーゼ(MAPK)は低下したが、Phospho-MAPKは逆に増加していた。これらのDataはいずれも分析に使用した膀胱癌細胞T24が光触媒反応の酸化還元作用に刺激を受け、細胞内のシグナル伝達経路に係るタンパク質の発現に変化が現れたことを示している。特に、Hsp90とAkt、Phospho-Akt、MAPキナーゼの低下は、光触媒反応に誘導される癌細胞死のメカニズムに重要な一貫であると考えられている。さらに、Hsp27は近年細胞プログラム死アポトーシスの抑制に係ると判明されている。その発現の増加は、光触媒反応で処理した細胞には、初期的アポトーシスが起こっていることを示唆していると考えられた。
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Research Products
(1 results)