2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液中の微量な腫瘍細胞を捕捉するマイクロチップの高性能化に関する研究
Project/Area Number |
22500422
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
大永 崇 富山県工業技術センター, 中央研究所, 副主幹研究員 (10416133)
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Keywords | 癌 / 腫瘍細胞 / マイクロ流体チップ / 末梢血 / 単離 / EpCAM抗体 |
Research Abstract |
樹脂製マイクロ流体チップの作製方法を検討し、幅19mm、深さ100μmの流路に多数のマイクロポスト(高さ及び直径が共に100μmの円柱)を配置した構造(先行文献Nature450(2007)1235のチップと同様)を有するスライドガラス大のチップを、1サイクルが数分程度で安価に製作できるようにした。樹脂素材にはエポキシ基を有するモノマーを配合し、後にチップ表面に抗体固定できるよう反応サイトを設けた。さらにチップホルダを開発し(特許出願済)、ポンプ、サンプル揺動機、蛍光位相差顕微鏡、カメラシステムなどを組み合わせ、チップにサンプルを送液して細胞の捕捉・同定ができるチップシステムを開発した。 チップに抗体固定するために、表面のエポキシ基にポリアクリル酸を反応させグラフトした。さらにこのグラフトポリマーにIgG抗体を結合したのちにEpCAM抗体を作用させて、チップ表面にポリマーを介して癌細胞捕捉用の抗体を固定化した。 上記チップおよびチップシステムにより癌細胞捕捉試験を行った。食道癌の細胞株(KYSE220)を用い、サンプルとして濃度40万個/mlの細胞懸濁液を用意し、流量1ml/hで約1.5ml送液した後のチップを観察した。その結果、マイクロポスト表面には捕捉された多数の細胞が認められ、一方、EpCAMを作用させていないチップでは細胞が見られなかった。さらに抗体を表面に直接固定する場合との比較についても検討し、ポリマーを介した固定の方が細胞捕捉効率が良い結果を得ている。 チップの血液に対する適合性を評価するために、健常者の血液を用いた送液試験を行った。これまでの結果では、チップ素材には血液成分の付着は少ないが、チップ構造により付着物が蓄積してしまう場合があるので、現在、血液の抗凝固処理やマイクロ構造の面から改良している。
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Research Products
(1 results)