2011 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌス毒素の腸管吸収機構を利用した新規薬物送達システムの開発
Project/Area Number |
22500427
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 由弥子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20403496)
|
Keywords | 細菌 / 薬物送達システム / 腸管 |
Research Abstract |
抗原性によりA-G型に分類されるボツリヌス毒素のうち、ヒトに中毒をきたすのは、主にA、B、E、F型である。A、B型ボツリヌス毒素の腸管からの吸収には、ボツリヌス神経毒素と複合体を形成する無毒成分の赤血球凝集素HA(HA1,HA2,HA3a,Ha3b)が重要であるが、E、F型ボツリヌス毒素にはHAが存在せず、その腸管からの吸収機構は未だ解明されていない。そこで、A型HAの薬物送達能の解析を進めるとともに、HAを利用しない新たな腸管への薬物送達システムの開発を目指して、E型ボツリヌス毒素の腸管吸収機構の解析も行った。 E型ボツリヌス菌は、ボツリヌス神経毒素(7S毒素)に赤血球凝集活性を示さない無毒成分(non-toxic non-HA ; NTNH)が結合した12S毒素を産生する。12S毒素は、アルカリ条件下で7S毒素とNTNHに解離する。そこで、7S毒素、12S毒素、およびNTNHのCaco-2細胞(ヒト結腸癌由来)への結合性を調べたところ、7S毒素の方が12S毒素よりも約5倍Caco-2への結合性が高く、NTNH単独ではCaco-2細胞に結合しないことが明らかとなった。さらに、抗体を用いた阻害実験により、Caco-2細胞への結合は主にボツリヌス神経毒素のC-末端50 kDaの神経細胞結合ドメインを介して行われることが明らかとなった
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HAを指向性リガンドとして結合したリポソームの薬物送達能の評価が難航している。
|
Strategy for Future Research Activity |
HAを指向性リガンドとして結合した薬物内包リポソームを作製しなおして、再度in vitroおよびin vivoで薬物送達能を評価する。 その一方で、HAを持たないE型ボツリヌス毒素の腸管からの吸収機構を解明することにより、HAを利用しない新たな腸管ターゲッティング薬物送達システムの開発を目指すこととした。
|