2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚系機能解析のための簡易的バイオマーカー計測法の開発
Project/Area Number |
22500434
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 敏 岐阜大学, 工学部, 教授 (50158440)
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Keywords | 検査診断システム / バイオマーカー / 赤外分析 / 皮膚 / 口唇 / 糖尿病 / 多奕量解析 / 血糖値 |
Research Abstract |
当初H22年度の研究実施計画には脂肪酸代謝の測定と口唇の脂肪酸組成解析方法を明らかにし、23年度には糖尿病の診断のために口唇や皮膚での糖化物質の解析を行うこととしたが、糖尿病診断法開発の緊急性に鑑み、実施順序を入れ替えることとし、22年度に前倒しで糖尿病診断法開発の研究を行った。【H22年度の実施研究内容】H22年3月までに医学系研究科倫理審査委員会の承諾を得て、当研究室で開発した口唇測定用FTIR-ATR装置を病院外来に持ち込み、医師の指導のもと、5月までに糖尿病などの患者28名の口唇および顔面皮膚の赤外スペクトル測定を行った。そのスペクトルデータと、被験者の血液データ(血糖値、HbAlc値など)と比較し、スペクトルデータから被験者の糖尿病のマーカー分子であるHbAlc値を実用的なレベルで予測できるPLSプログラムを開発した。また、HbAlc値の予想に使った赤外スペクトルの内、最も敏感に変動する赤外吸収波数を検討し、その物質的根拠の探索を行った。【結果と意義】口唇および顔面(顎)皮膚の赤外スペクトルから、様々なピーク波数を組み合わせて比率の計算値を求め、被験者の血糖値やHbAlc値との相関を見たところ、有意に正の相関を示す波数の組み合わせを見出した。さらに、PLS法を使って、検出力88%で被験者のHbAlc値を予想することができた。赤外スペクトルのうち、1300cm-1前後にあるピークがHbAlc値の変動に敏感な赤外吸収の一つであったが、その由来を探索したところ、カルボキシメチルルリジン(AGEsの一つ)にもそのようなピークがあることを見出した。これらのことは、口唇や皮膚の赤外スペクトル変化で糖尿病のマーカー分子を捉えられたことを示唆している。【重要性】糖尿病の病態診断に口唇や皮膚の赤外分析が使えるので、新しい診断装置開発の基礎が築かれた。
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