2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚系機能解析のための簡易的バイオマーカー計測法の開発
Project/Area Number |
22500434
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 敏 岐阜大学, 工学部, 教授 (50158440)
|
Keywords | 検査診断システム / バイオマーカー / 赤外分析 / 皮膚 / 口唇 / 糖尿病 / 多変量解析 / 血糖値 |
Research Abstract |
H22年度に糖尿病診断法開発の研究を行ない、口唇や皮膚の赤外スペクトル変化で糖尿病患者を含めた被験者のHbAlc値の予測を、有意に行うことができることが分かった。しかし、まだ十分には予測手法を確立できていなかったので、論文がまだペンディング状態でいた。 【H23年度の実施研究内容】H23年度には、引き続き予測手法の開発をすすめ、ようやくPLS法の核心的なキャリブレーション領域を複数見出すことができた(投稿準備中)。この進展の背景には、口唇や皮膚表面の糖化物質(糖尿病のマーカー分子)としてカルボキシメチル(CM)化アミノ酸やCM化エタノールアミンリン脂質が赤外スペクトル変化にかなり寄与していることが解析できたことがある。また、血清中の極長鎖脂肪酸の蓄積症を赤外分析で簡便迅速に予測できるかの検討もおこなった。さらに、被験者7名でDHA(ドコサヘキサエン酸)入ヨーグルト摂取により、口唇表面にDHAが摂取後どれくらいの時間で現れるかを測定したところ、30分後から増加傾向があり3時間後に有意にDHAが口唇表面に現れることを確認できた。【結果と意義】PLS法を改良し、さらにHbAlcの検出感度を高めることが出来て、糖尿病スクリーニング検査として赤外分析が有用であることを示すことができた。さらに、血清や口唇組織をin situで非破壊的に脂肪酸代謝の変化の測定に使うことができることを再確認することができた。【重要性】皮膚という簡易的に測定することの出来る部位を使うと、糖尿病に関連する糖化物質の変化をモニターすることで診断に使うことが出来、さらに様々な脂肪酸代謝を定量的非侵襲的に測定することができることが分かり、より実用性に近づいた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的は、皮膚に現れる脂肪酸などの生理的状態のマーカーとなる分子を非侵襲的かつ容易に測定できる方法を開発し病態診断あるいは体調管理に応用する、ということであった。これまでの研究で、口唇表面を使った赤外分析により、糖尿病のマーカーであるHbAlc値を予想したり、脂肪酸の変動を測定できるようになったので、順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、最後の年度では、予測的多変量解析であるPLS法をさらに最適化して実用に結びつける研究をおこない、糖尿病診断の根拠となる皮膚に現れるカルボキシメチル化物質の定量的分析をおこない、さらにDHAや極長鎖脂肪酸の変動を予測するアルゴリズムを開発することを目指す。そして、できるだけ論文としてまとめ、早く出版していく。
|