2011 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析による眼振運動の高精度計測とめまいの原因推定への応用
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22500442
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 敏幸 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20217053)
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Keywords | めまい診断 / 眼振 / 眼球運動検出 / 瞳孔検出 / 位相限定相関法 |
Research Abstract |
この研究の最終目標は、めまいを起こしているときの眼球運動の定量化と可視化、眼球運動とその原因を結びつけるための判別分析の三つが挙げられる。平成23年度の研究成果として、まず眼球運動の解析のためのゴーグルカメラを完成させた。カメラ作成の段階で、今後の解析方法などを考慮して使用を検討した結果、画像の保存ファイル形式をjpgとした。平成23年8月末にゴーグルカメラの試作機が完成した。これまで利用していた市販のゴーグルカメラの撮影はインターレース方式であったため画像解析をおこなう際に不具合が生じたが、このカメラの完成によって研究を次のステップに進展させることが可能となった。平成23年度は、市販のゴーグルカメラ画像に対応させて作成したソフトウェアを、開発したカメラ用に修正することから始めた。画像取得のための被験者として、健常者(研究協力者)の眼球運動の撮影を行った。インターレース・ノンインターレースの違いだけではなく、ファイルフォーマット、撮像範囲、映像の鮮明度など、いままでの画像と大きく変わったため、画像の前処理からすべてを検討しなおしてのソフトウェア作成となった。患者によっては瞳が目の量がぎりぎりの位置まで移動する場合があり、そのようなときの映像では、瞳の形状が縦長の楕円になる。いままでのアルゴリズムでは、瞳の形状が円形であると仮定して位置計測を行っていたので、解析アルゴリズムの改良も行った。楕円形状の抽出となるので、いままでより計算時間が長くなってしまう。そこで、実用性を考慮して、計算時間を短縮するための処理を行った。その結果として、いままで円形で近似していたものと同様に高速な形状抽出ができるようになった。ゴーグルカメラの完成が8月末ということもあり、またアルゴリズムの大幅な見直しが必要だったため、患者に対する撮像については平成24年度の研究課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ノンインターレースのゴーグルカメラ作製に予想以上の時間がかかった。市販のゴーグルカメラでは今後の研究が進展しないため、ノンインターレースのカメラ作製が終了しなければ次のステップに入ることができないという状況だった。そのため、ゴーグルカメラ作製の遅れが研究全体の遅れとなっている。試作のゴーグルカメラに大きな改良がなければ、平成24年度の研究は順調に進むもの考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、健常者に強制的に眼振運動を起こさせて、それデータ解析した。健常者を被験者としてデータを取得した場合、回旋運動と水平・垂直運動が独立した状態の映像となる。しかし、実際の患者の眼振を撮像すると、瞳の回旋運動と水平・垂直運動が合成したデータとなる。平成24年度前半の研究としては、運動が合成された画像データからそれぞれの運動を分離・抽出し、それぞれの運動について時系列の解析を行う。平成24年度後半の研究として、めまい原因の異なる患者について解析を行い、めまい原因と解析結果との対応付けを検討する。ここでの一番の問題点としては、めまい患者の画像データがどの程度入手できるかということである。サンプル数によって平成24年度の研究成果が決まってしまうので、医師との共同研究体制を強めていきたいと考えている。
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