2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波血管機能検査装置の高度化と血流依存性血管拡張機序の解明
Project/Area Number |
22500449
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新田 尚隆 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究員 (60392643)
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Keywords | 超音波医科学 / 血管機能 / 血流依存性血管拡張反応 |
Research Abstract |
血流依存性血管拡張(Flow-Mediated Dilation ; FMD)は、血管壁上のずり応力を主たる刺激源として、血管内皮細胞より産生される一酸化窒素の血管壁内への拡散による平滑筋弛緩して血管径が拡張する反応である。FMD検査ではこの血管拡張率(%FMD)が計測されるが、刺激源であるずり応力及び他因子変動によるバラツキが大きく、内皮機能を的確に評価できない問題があった。本研究では、この問題を解決すべくFMD検査装置を高度化し、その装置を用いた人間工学的評価に基づき前記刺激因子を特定して、血流依存性血管拡張反応における機序解明のための知見を得ることを目標とする。 平成22年度はFMD計測装置の高度化を行った。FMD反応モデルにおいて%FMDに相関する刺激因子を特定するためにはまず血管径及びずり応力の計測精度が改善される必要があるため、これら計測精度改善のための信号処理アルゴリズムについて検討した。アルゴリズム検討後、その評価実験を行った。実験では、ポリスチレン球を含む模擬血液及び牛血を模擬血管内に循環させて血管及び血流データを取得し、該アルゴリズムによる処理を施して、血管径、流体の粘度及びずり応力を算出した。また別に、レーザー変位計及び回転式粘度計を用いて模擬血管変位とずり速度-粘度曲線を求め、これより得られる血管径、粘度、ずり応力を真値として、前述のアルゴリズムによる処理結果と比較した。比較結果については計測アルゴリズム改良にフィードバックし、計測結果が真値に近づくように信号処理パラメータの選定を最適化した。その結果、真値と計測結果との相関がR^2=0.9以上となる最適化が可能であった。
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