2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500457
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
今井 晋二 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90283556)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松末 吉隆 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30209548)
|
Keywords | 軟骨細胞 / 力学的刺激 / 細胞間応答 / サイトカイン / 器質産生能 |
Research Abstract |
コラーゲン器質内に細胞を包埋することによって三次元的環境を維持して軟骨細胞を力学的に刺激すると器質産生能が亢進する事がこれまでの研究で明らかになった.一方、3次元培養下に軟骨細胞を力学的刺激するとまた、これと同時にIL-4の発現亢進が起こる事を明らかにした。力学的刺激を受けた軟骨細胞とそれまで刺激を受けていない軟骨細胞を同じ装置に同じ培地を用いて装填すると、刺激を受けていない軟骨細胞の器質産生能が活性化することから、何らかの液性因子が力学的刺激を契機に分泌されていると推察され、その実態がIL-4なのではないかとの仮説に達した。力学的刺激された軟骨細胞はIL-4を分泌して、周囲の細胞とその力学的刺激下の環境についての情報を共有しているとの仮説が正しならば、IL-4を加えると軟骨細胞に力学的刺激を加えなくても、あたかも力学的刺激が加わったかのように軟骨器質産生能が亢進するはずである.これを証明するために3次元培養力学的刺激システムに装着するも力学的刺激を加えず、IL-4を負荷した実験群と力学的刺激のみを負荷した実験群でのアグリカン、II型コラーゲンなどの細胞外器質の遺伝子発現で検討したところ、IL-4群は力学的刺激群と同様に細胞外器質産生が亢進した。次に3次元培養力学的刺激システムを用いて、力学的刺激による細胞外器質の産生亢進にIL-4拮抗薬の及ぼす影響を経時的に調べた.IL-4を分泌する事により周囲の細胞とその力学的刺激環境についての情報を共有しているとの仮説が正しならば、力学的刺激の効果が1レ4拮抗薬でキャンセルされるはずである。力学的刺激後にIL-4拮抗薬を投与したところ、アグリカンとII型コラーゲンの遺伝子発現は共に抑制されることが判明した。このような抑制は、二次元培養下の軟骨細胞では見られない。二次元培養下では軟骨細胞が脱分化し、IL-4による力学的環境に関する情報を共有する機能が喪失されていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、大きく2つの作業仮説を立てた。一つは、IL-4を加えると軟骨細胞に力学的刺激を加えなくても、あたかも力学的刺激が加わったかのように軟骨器質産生能が亢進するはずとの仮説であり。もう一つは力学的刺激の効果がIL-4拮抗薬でキャンセルされるはずであるとの仮説である。これら二つの仮説は、おおむね証明することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
軟骨細胞の脱分化は、変形性関節症の発症メカニズムを考える上で、非常に興味深い。今回の研究で二次元培養下では軟骨細胞が脱分化し、IL-4による力学的環境に関する情報を共有する機能が喪失されているとが判明した。初期変形性関節症に対して、その失われた器質産生能をIL-4の投与で回復することができないかの検討は、その成果は臨床への応用も可能にする為、大いに期待されるところである。
|
Research Products
(14 results)