2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい多種感覚誘導性注意改善システムの開発と臨床応用
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22500464
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30325782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
余 永 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20284903)
林 良太 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40288949)
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70295244)
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Keywords | 片麻痺 / 半側空間無視 / 脳卒中 |
Research Abstract |
半側空間無視は脳卒中片麻痺患者に多く見られる注意障害で、身体外空間に対する方向性注意障害の他に、麻痺肢、非麻痺肢にかかわらず、運動や行動自体への注意低下のために機能回復や日常生活動作(ADL)能力の向上にしばしば難渋し、転倒・転落など安全管理上も重大な影響を及ぼしている。本研究は、半側空間無視患者に対して、1)脳活動をモニタリング、かつフィードバックしながら、注意向上に有効な刺激を選択、調整、決定する、2)そして、脳損傷による注意障害あるいは片麻痺患者の運動や行動に対する意図や注意を高め、その状態で運動や行動を反復することでパフォーマンスの改善を図る、3)最終的に以上を備えた感覚誘導性注意運動改善システムを開発することである。 これに対して、平成23年度、以下のような実績をあげた。 平成23年度の目標の一つは、半側空間無視の治療に、いかなる感覚刺激をどの程度の強度や頻度で加えるのが適当か明らかにする事であった。従来、頸項部の振動刺激が効果的である事が知られていたが、臨床的に応用するには治療時間が長いため非効率的な側面があった。今回、我々は通常の作業療法の直前に5分間の頸項部振動刺激を加えるというシステムを開発して臨床試験を実施し、その結果、5分間の振動刺激と作業療法との組み合わせが、作業療法単独より、半側空間無視の治療に効果的である事を国際リハビリテーション医学会誌に報告した(Kamada,Shimodozono,et al,2011)。 また、脳卒中片麻痺に対する促通反復療法の前後で、片麻痺上肢の機能障害が改善することと、fNIRSにより測定した脳血流が変化する事の関連性についてデータを取得しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳卒中片麻痺患者に多く見られる注意障害である半側空間無視に対して、"通常の作業療法の直前に5分間の頸項部振動刺激を加える"という新しい治療システムを提唱しえたこと。脳卒中片麻痺患者に対する適切な感覚運動刺激(促通反復療法)によって脳血流の変化(脳の可塑性)が生じることのデータを取得中であること。
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Strategy for Future Research Activity |
半側空間無視や片麻痺に対するリハビリテーション治療(物理刺激や促通反復療法)の効率性を高めるために、fNIRSを効率よく利用できないか基礎的なデータの蓄積と臨床効果との関連性を追求して行く予定である。
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Research Products
(3 results)