2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500469
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山野 眞利子 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80192409)
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Keywords | 糖尿病マウス / 運動療法 / 中枢神経 / 骨格筋 / 栄養療法 |
Research Abstract |
糖尿病は高血糖により起こる全身への様々な障害と平行して、エネルギー代謝等に関与する脳機能の低下がおこる。特に視床下部にある摂食中枢の神経細胞の働きが大きく低下していることがその原因の一因であることを、実験動物を用いて神経科学的に証明することを目的とした。昨年度は糖尿病動物に運動療法を施すと、上記の低下していた摂食中枢の神経細胞の働きが正常に近くなり、さらにその効果が数日間続くことを顕微鏡的・分子生物学的・行動学的に証明した。今年度はさらに高蛋白食による栄養療法を検討した。 【方法】昨年と同様、2型糖尿病を示すdb/dbマウスを用い、高蛋白食摂餌群と普通食群にわけ4週間後に犠牲死させ、以下の検討をした。脳の視床下部にある摂食関連神経であるオレキシン神経細胞をターゲットとし、これらの神経の活動性の変化を核内に出現するc-fos蛋白をマーカーとして免疫組織化学的方法により詳細に検討した。さらに骨格筋の萎縮の改善を検討するため、ひらめ筋を含む下腿三頭筋を摘出し、筋線維をミオシンtype1,type2線維の抗体を用いて免疫組織化学的に検討した。 【結果】高血糖を示すdb/dbマウスの脳内では普通食ではオレキシン神経細胞の核内に出現するc-fos蛋白は、コントロールのdb/mマウス比較して大幅に減少していた。高蛋白食摂餌群のdb/dbマウスではc-fos蛋白はやや増加したが、コントロール群より低下したままであり、高蛋白食のみでの中枢効果は少なかった。一方ひらめ筋は高蛋白食群で萎縮が中程度に回復し、糖尿病動物において高蛋白食の効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は糖尿病動物にトレッドミルで運動療法を施し、低下していた摂食中枢の神経細胞の活動が正常に近くなり、さらにその効果が数日間続くことを顕微鏡的・分子生物学的・行動学的に証明した。 今年度はさらに2型糖尿病を示すdb/dbマウスを用い、栄養療法を検討した。今年度は運動負荷なしでの検討で、高蛋白食摂餌群と普通食群にわけ飼育した。中枢効果は脳の視床下部にある摂食関連神経であるオレキシン神経細胞の活動性の変化を核内に出現するc-fos蛋白の出現を検討した結果、普通食群糖尿病マウスはコントロールマウスと比較してc-fos蛋白は大幅に減少し、神経活動が低下していたが、高蛋白食摂餌群のdb/dbマウスではc-fos蛋白はやや増加した。しかしコントロール群までは増加しなかった。 さらに骨格筋の萎縮の程度を検討するため、ひらめ筋を摘出し、ミオシンtype1,type2線維の抗体を用いて免疫組織化学的に検討した結果、骨格筋は高蛋白食群で萎縮が中程度に回復したことを明らかにし、糖尿病を栄養療法面から再考するまで進展した。来年度はさらに糖尿病動物における運動と高蛋白食の組み合わせる実験をする予定である。 以上より糖尿病動物に栄養的な検討も必要であると発展し、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデル動物を用いて、トレッドミルでの運動で中枢での効果を認め、その効果は数日続くことを明らかにした。さらに今年度後半から自身のケージ内で、自由に運動できる装置(回転車)を導入し、運動する時間や運動量を測定しながら、糖尿病モデル動物での中枢神経系の回復を検討し始めている。来年度はこの自発的運動を組み合わせ、糖尿病の症状の軽減の度合いを検討していく予定である。 また今年度は高蛋白食を中心に栄養との関連を発展させた。来年度は運動と高蛋白食を組み合わせ、糖尿病患者に起こる末梢での諸症状、例えば骨格筋の筋萎縮がどの程度軽減されるか、また糖尿病モデル動物で骨格筋の萎縮を軽減させる際、細胞外からのTNFα、細胞膜上のGLUT2, 筋細胞内ミトコンドリア機能を調節するPGC-1α等の検討や、インスリン分泌細胞の動態等のアプローチを行い、運動や栄養療法により、どの情報伝達が改善されるのか検討を加える予定である。 ヒトでも糖尿病では運動療法と炭水化物を減らしたカロリー制限を中心とした栄養療法が治療の中心である。今後、高蛋白食と運動療法の組み合わせという、新たなヒトでの糖尿病患者への治療方法に発展できたらと考える。
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Research Products
(2 results)