2011 Fiscal Year Annual Research Report
半側空間無視に対する経頭蓋直流電流刺激を用いた長期的リハビリテーション法の確立
Project/Area Number |
22500474
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30336028)
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Keywords | 半側空間無視 / 経頭蓋直流電流刺激 / 運動視 / 事象関連電位 / 視覚系と前庭系の相反抑制 / 探索眼球運動 / 視覚情報処理 / リハビリテーション |
Research Abstract |
目的:主に劣位半球頭頂葉損傷による脳内感覚情報処理機能の障害に起因する半側空間無視(USN)の発症メカニズムは未だ明らかでなくリハビリテーションも限られ、日常生活や社会復帰の重大な妨げになっている。本研究では、頭頂葉を主病巣とする脳内感覚情報処理機能の障害で発症するUSNに対して、健常脳での視覚系と前庭・小脳系との相反抑制機能を念頭に置き、(1)一側前庭神経の機能を経頭蓋直流電流刺激(tDCS)で非侵襲的に抑制させ、USNの即時的な症状改善の有無を心理物理学的(運動視刺激の認知閾値)、電気生理学的(事象関連電位(ERP)、探索眼球運動)に検討すること、(2)3次元動画像の長時間視聴による視覚認知訓練とtDCSを組み合わせた新たなリハビリテーションを考案しその長期的効果を検討すること、を目的とする。本年度は、USNにおける運動視刺激(OF)によるERPを記録を継続して症例数を増やし、健常者群と比較検討した。結果:USN群で健常者群と比べ白色ドットによる運動視刺激を用いた認知閾値が、OF刺激の中心位置が左側に5度ずれると、USN群の認知閾値がドットのコヒーレントレベルでほぼ100%まで上昇しないと認知できなかった。また、OF刺激の中心位置が右側に5度ずれた場合もUSN群の認知閾値が健常若年者や健常老年者に比べて有意に上昇していた(p<0.01)。また、ERPは振幅や潜時が健常群よりも低下、延長しているものの、頭頂部でP200成分を記録できた。考察:本研究での運動視刺激を用いた心理物理学的結果を解釈すると、USNでは右半球損傷によって左側への空間性注意障害が生じたことで注視が右側に偏位してしまい、右側のある範囲でしか視覚探索を行えない結果になったと考えられた。また、ERPの結果から、USNの病態の一因として、処理された視覚情報が認知機能に関係する前頭前野に正確に伝達されないことが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほぼ予定通りに直流電流刺激を用いたモデル作成とそのモデルを用いた機能の変化を検討する研究は行えているが、疾患を有している患者群(USN群)の長期経過観察個体が、患者の都合や症状の変化などで群から脱落していく個体が多く、予定の2/3ほどにとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者の長期経過観察個体として、USN症状を有している新規回復期患者を研究群に採用し、脱落数の代わりとして実験に採用していく予定である。今後の脱落も考え、今までの脱落数の約2倍の数の症例を実験に参加してもらう予定である。その他、三次元画像を用いた刺激による誘発電位の記録などは、健常被検者群で現在順調に行え、正常値の閾値がほぼ確定してきているため、患者群に対してリハビリテーションの効果判定として利用し、長期的リハビリテーション効果の検討に用いる予定である。
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Research Products
(4 results)