2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500476
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坂本 美喜 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40365177)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 和之 東邦大学, 医学部, 准教授 (10120247)
|
Keywords | 骨格筋 / 廃用性筋萎縮 / 形態的変化 |
Research Abstract |
活動量の低下に伴う骨格筋の萎縮は廃用性萎縮と呼ばれる.萎縮に伴う構造変化に関しては筋線維辺縁の波状変化や筋原線維の破綻,Z線の変化などが報告されている。我々は、廃用性萎縮筋において筋線維の波状変化が出現することを報告し、廃用性萎縮のマーカーとなることを示した。本研究では,萎縮に伴って出現する筋線維の波状変化に着目し、走査型電子顕微鏡(SEM)と免疫組織化学染色法を用いて解析した. 実験動物は5週齢のICR系雌マウスを用いた.廃用性萎縮のモデルとして足関節固定(足関節最大底屈位)を実施した。10日間固定後ヒラメ筋を採取し、連続したパラフィン切片を作成した。そしてSEMおよびコラーゲンIV抗体を用いた免疫組織染色にて観察した.その結果,コントロール群では,筋辺縁は直線状を示していた.SEMで観察すると筋原線維が認められた.一方,10日間固定群の筋線維では,筋線維辺縁の波状構造を呈する部位が観察された.SEMで観察したところ,波状構造の部位では基底膜と思われる構造物が筋の細胞質に入り込み溝のような構造を呈していた.免疫組織染色では筋細胞質に入り込んだ構造物はコラーゲンIV抗体陽性となり,SEMで観察された像が基底膜であることが確認できた.しかし,波状部位において筋原線維に明らかな破綻は認められなかった. 本研究では筋原線維は明らかな破綻はみられなかったが、筋原線維の破綻の有無は筋の回復過程との関連が深いことから、今後も筋原線維の変性について継続し検討する。一方、筋膜では構造変化が生じていることが示唆された。筋膜は、筋再生に重要な役割を果たすが、筋線維の形態変化と筋膜の関連について言及した先行研究はない。本研究をすすめることで、廃用性萎縮における筋膜の変化を知ることができ、萎縮筋の機能回復を図る治療法を確立するために,有用な基礎的資料となるものと考えられる。
|