2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規物理療法である不規則性振盪振動刺激装置の開発とそれを用いた骨折予防効果の検証
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22500484
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山田 晃司 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60278306)
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Keywords | 骨密度低下 / 筋肥大 / PGC1α / FOXO1 / 大腰筋 / 腰椎 |
Research Abstract |
閉経後女性を想定したモデルマウスを作成し,卵巣摘出した群(OVXマウス群)と野生型群の2群に分類し,それぞれ,刺激を実施した群と実施しない群に区分(OVX/振盪:+/+,+/-,-/+,-/-)した。振盪刺激を10週間継続した後に大腰筋を採取し,組織標本を作成した後,筋線維横断面を観察して筋線維タイプ別の短径平均計測を行った。また、腰椎はテトラサイクリンとカルセインによる二重標識を行い,組織標本を作製し骨形態計測を行った。 OVXマウス群と野生型群共に,振盪刺激を行うことによって遅筋線維の肥大が有意に認められた。また,OVXマウス群,野生型群で振盪刺激を行うことでPGC1αの発現量が高値を示したが,FOXO1では相反して振盪刺激を行っていない方が低値を示した。腰椎の骨形態計測では骨石灰化速度と骨形成速度は,OVXマウス群と野生型群では有意な差は認められなかったが,刺激を行うことによって骨石灰化速度は有意な差を示した(P<0.05)。 振盪刺激により遅筋線維に筋肥大が認められたことにより,振盪刺激は速筋線維を筋肥大させるまでの運動強度にはいたらず等尺性運動の要素が高いことが示唆された。さらにその刺激によりPGC1αの発現量が増加したことで,振盪刺激が有酸素運動を引き起こすことが考えられた。また,PGC1αとFOXO1間には相互的作用があることが考えられFOXO1がPGC1αに対して抑制的に働いている可能性が考えられる。振盪刺激により腰椎の骨代謝が亢進したことは大腰筋を介した間接的な機械的刺激が腰椎に加わったことが示唆される。本年度の結果から振盪刺激が大腰筋の遅筋線維の肥大を促し,腰椎の骨形成を助長したことが推察できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
振盪刺激による筋肥大に関する研究は予定では複数の下肢筋において解析を進める予定でいたが、マウス大腰筋の大きさが予想以上に小さかったため、組織解析結果がバラついた。改善するためn数を当初の予定より増加させたためそれに費やす時間が要した。抗PGC1α抗体も当初購入したものが途中で不足し、代わりとなるものが入荷するまでに少々時間を要した。しかし、振動刺激に関する結果が得られていない。また、骨解析においては、計画以上に骨形態計測が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画では来年度以降、将来この刺激方法を臨床応用するため動物の結果とヒトとの結果を比較していく予定となっているが、振盪振動刺激装置を作成するのが来年度にずれ込んでいる。そのため来年度においては、動物実験を先行し、振盪振動刺激の筋や骨に与える影響について解析を進めて行きたい。また、本年度までの動物実験における振盪刺激の結果を論文にまとめることも考えている。
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