2011 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスに対する生体応答時の交感神経系の役割
Project/Area Number |
22500487
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
浅田 啓嗣 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 講師 (10440851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 都 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00033358)
小畑 孝二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40378229)
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Keywords | 細胞 / メカニカルストレス / 神経 / カルシウムイオン / 伝達 / 骨芽細胞 / サテライト細胞 |
Research Abstract |
本研究は、共培養システムを用いてメカニカルストレスを受容する骨・関節組織細胞と神経細胞間の生理的な相互作用の解明を目的としている。これまでに後根神経節細胞と骨芽細胞の共培養システムを確立し、骨芽細胞から神経細胞へと求心性に情報伝達することを明らかにした。今年度はその求心性反応のメカニズムと、加齢変化について検証した。(1)共培養における形態的観察:生理実験にて求心性反応がみられた細胞を電子顕微鏡にて観察した。神経軸索から突起が伸び骨芽細胞の細胞膜へ接着していることが観察され、これまでの結果を踏まえ機能的・形態的に骨芽細胞と神経細胞が情報伝達していることが明らかとなった。(2)骨芽細胞のCa^<2+> channelの同定:機械的刺激による骨芽細胞の反応はStretch activated Ca^<2+> channel blockerを投与すると非投与時に比べ有意に減弱し、この反応にはStretch activated Ca^<2+> channelが関与していることを明らかにした。このことは本システムにおいて生体における機械的刺激と類似した刺激が加えられていることを示している。(3)求心性反応の加齢変化とサテライト細胞の役割の検証:骨芽細胞の機械的刺激に対する幼若および成熟マウスの神経細胞における求心性反応を比較すると神経の正常反応出現率は加齢により減少傾向を示した。幼若神経細胞の培養に特異的に混在しているサテライト細胞を除去すると正常反応出現率は低下し異常反応が高頻度に観察された。この結果からサテライト細胞は神経の過剰な反応を抑制し保護的な作用を有していることが示された。骨から神経への求心性反応はサテライト細胞により調節され骨形成に関与している可能性がある。今後は、その反応におけるサテライト細胞の保護的作用のメカニズムについて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は(実験1)骨芽細胞と知覚神経細胞との求心性情報伝達におけるサテライト細胞の役割の検証と(実験2)炎症モデルによる両細胞の相互作用の検証を予定していた。実験1のサテライト細胞の役割を検証していく上では、骨芽細胞と知覚神経細胞との求心性情報伝達メカニズムの詳細な解明が必須となり、骨芽細胞の反応におけるカルシウムチャネルの同定、電子顕微鏡による細胞間連絡の形態的特徴の観察に主力を注がざるを得なかった。実験(2)には取り組めなかったが、おおむね順調に計画は進展し、新たな研究成果を得て、研究成果を論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
分担者と連携を図りながら計画通り研究を推進していく予定である。研究遂行上の問題点は特に無い。
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Research Products
(9 results)