2011 Fiscal Year Annual Research Report
在宅嚥下リハビリテーションのEBMの確立ー高齢者の誤嚥性肺炎予防プログラムの構築
Project/Area Number |
22500490
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
野崎 園子 兵庫医療大学, 医療福祉学部, 教授 (50463477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳川 浩男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90273680)
道免 和久 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50207685)
土肥 信之 兵庫医療大学, 医療福祉学部, 教授 (50104807)
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Keywords | 嚥下障害 / カプサイシン / 在宅 / 嚥下造影 / 肺炎 / 満足度 |
Research Abstract |
研究目的:本研究は、先行研究で有効性を確認したカプサイシンによる嚥下直接訓練について、在宅における長期継続性と長期効果の検討を目的とした。 研究方法:カプサイシンゼリーによる介入試験、前向きオープンスタディ 1.対象1)目標症例数20例 2)登録採用基準と除外基準 採用基準:(1)脳血管障害またはパーキンソン病患者(2)才藤の臨床的嚥下重症度分類3-6の状態が1カ月以上持続している者(3)症状の変動を認めない者(4)指示に従った摂食が可能な者(5)年齢が50歳以上90歳未満の者 除外基準:(1)明らかな認知障害の認められる者(MMSE23点以下)(2)失調症状やジスキネジアのある者(3)過去6カ月に2回以上の誤嚥または窒息の既往があるもの(4)医師が不適切と判断した者 2.方法 1)訓練方法:訓練手順カプサイシンゼリー法:カプサイシンゼリーを毎日一回食事中に交互嚥下する訓練を6カ月継続する。本訓練の安全性と有効性を確認するため、訓練導入時は、医師または言語聴覚士の監視の下におこなった。 2)評価(A)1次エンドポイント:(1)訓練継続状況:在宅訓練実施表に基づき、訓練の継続状況を判定(2)嚥下機能嚥下造影(VF)(B)2次エンドポイント:反復唾液のみテスト(RSST)、改定水のみテスト(MWST)(C)真のエンドポイント:(1)肺炎発症回数、(2)患者の嚥下に対する自覚症状(SWAL-QOL) 3.結果:登録患者年齢65-93歳(男性6名、女性5名) (A)(1)訓練継続状況:全員継続中(2)嚥下機能開始時に2名が咽頭残留の減少の即時効果を示した。 (B)RSST:悪化2名、不変9名、WST:改善2名悪化2名不変7名 (C)(1)肺炎発症回数新たな発症はない。(2)SWAL-QOL:改善5名悪化1名 4.現時点でのまとめ カプサイシンゼリーによる在宅訓練は継続可能であり、患者の満足度は得られている。嚥下障害に対する長期効果は終了時に検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で、ゼリーの材料が入手不能となった。製造を依頼していた業者が震災の影響で稼働不能となった。新たな材料で新たな工場でゼリーを作成するため、品質や安全性の確認に時間を要した。半年遅れでようやくカプサイシンゼリーを入手できたが、生産が必要の半量しか間に合わなかった。H24年度に追加購入をして、新たな患者も追加登録するとともに、現在の登録患者も引き続き、6カ月後まで継続予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.A)メトロノームを用いた嚥下訓練とB)カプサイシンゼリーを用いた嚥下訓練において、1)在宅での継続可能性、2)長期効果を比較検討する。ただし、東日本大震災の影響でカプサイシンゼリーの調達が遅れ(工場が東北地方にあったため)訓練開始が大幅に遅れ、今年度に残りの半分量を購入し、B)を継続する。終了後にA)メトロノームを用いた嚥下訓練とB)カプサイシンゼリーを用いた嚥下訓練において、どちらがより有用かについて、比較検討する. 2.メトロノーム訓練において、訓練効果のメカニズムを検討する。 評価項目は、メトロノームの合図での嚥下時における、a)脳機能画像(fMRI)の変化、b)呼吸曲線の変化である。a)脳機能画像はfMRI(3.0テスラ)を用い、メトロノーム音の有無による、嚥下前・直後における脳機能活性部位の変化を評価する。b)嚥下時における呼吸曲線は、嚥下と呼吸の同時測定を行い、嚥下による無呼吸や嚥下後の呼吸リズムの変化パタンについて、訓練前後の変化を解析する。
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Research Products
(10 results)