2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知症者のコミュニケーション障害の類型化に基づく包括的アプローチの開発
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22500494
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
飯干 紀代子 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (80331156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 広幸 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (70331155)
飯干 明 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (20117477)
大森 史隆 九州保健福祉大学, 保健科学部, 助手 (70551307)
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Keywords | 言語聴覚療法学 / 認知症 / リハビリテーション / コミュニケーション障害 / 類型化 |
Research Abstract |
本研究は、認知症者の70~90%にみられ、認知機能低下や行動障害増悪、またリハビリテーションや介護困難の要因のひとつとされるコミュニケーション障害について、(1)我々が既に開発した方法を用いた包括的な評価、(2)聴覚障害型、失語症型、高次脳機能障害型、それらの複合型等への類型化、(3)タイプごとのコミュニケーションアプローチの開発と実践、(4)介入効果の検証を行うことを目的としている。 平成22年度に上記(1)(2)を終了したことを踏まえ、平成23年度の研究実施計画は、類型化したタイプごとのコミュニケーションアプローチの開発と実施(上記(3))であった。研究成果は以下の通りである。 1)認知症者97例に実施した評価結果をStepwise法による階層的クラスター分析にて解析した。認知症者のコミュニケーション障害は、全体高型、聴覚障害型、認知障害型、構音障害型、全体低型の5タイプに類型化された。 2)各タイプに対するコミュニケーションアプローチを考案した。具体的には、全体高型:機能維持・向上のためのグループ認知訓練、聴覚障害型:補聴器装用、口形提示による理解促進法、認知障害型:機能維持・低下防止のためのグループ訓練、メモリーブックを用いた見当識訓練、構音障害型:構音訓練、義歯の装着、全体低型:機能低下防止のための非言語的コミュニケーション手段を多用した訓練である。現在、認知症者97例に対し、2施設でこれらのアプローチを実施中である。 3)研究成果の公開は以下の通りである。 ・学会発表:日本老年精神医学会(ポスター発表)、International Psychogeriatric Congress(ポスター発表)、日本高次脳機能障害学会(シンポジウム、口頭発表3題)。 ・原著論文(査読あり):老年精神医学雑誌第10巻pp1166-1173。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の4つの目的のうち、平成22年度に第1および第2目的が、平成23年度に第3目的である認知症者の類型化に基づいたコミュニケーションアプローチの実施がほぼ予定通り進行中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.認知症者への再評価実施:研究代表者、研究分担者(山田弘幸、大森史隆)、研究協力者3名が、約100例の対象に、聴覚、認知、言語、介護負担などの再評価を実施する。実施場所は医療法人猪鹿倉会パールランド病院(鹿児島市)、医療法人厚生会トトロみのる園(延岡市)である。各施設の所属長、対象本人あるいは家族には、平成22年の初期評価実施の際、十分な説明のもとに文書で承諾を得ている。研究対象が高齢で認知症を有しているため、身体状況増悪や転院・退院などで評価実施困難例が出ると想定される。これまでの我々の研究より実施困難例は1~2割と予測され、統計処理上の問題はないと判断する。 2.結果の分析:リサーチアシスタントにより入力された介入効果を、研究代表者と研究分担者(飯干明)が統計的に検証する。集団データについては二元配置分散分析、個々の症例についてはマクネマー検定を行う。使用統計ソフトはSPSS for windows 19.0、実施場所は鹿児島大学、志學館大学(いずれも鹿児島市)である。 3.結果のまとめ:研究代表者、研究分担者(山田弘幸、飯干明、大森史隆)が、介入効果を総合的に考察する。
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