2011 Fiscal Year Annual Research Report
選択反応時間タスクを用いた脳梗塞片麻痺の回復過程の解明
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22500495
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
金子 秀和 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (20356801)
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Keywords | リハビリテーション / 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 / 動物 |
Research Abstract |
脳機能障害のリハビリテーション過程は、感覚や運動機能の再学習と密接に関連しており、リハビリテーション技術の高度化のためには脳の可塑性や学習過程の解明が欠かせない。我々は、脳梗塞後のリハビリテーション過程においても、鳥の歌学習と同様に感覚学習期から運動学習期へと段階を経た学習過程が存在し、それに応じた適切な機能回復訓練法あるいは訓練時期が存在するのではないかと考えている。本研究では、感覚運動機能の左右差を評価可能な新規ラット用選択反応時間タスクを脳梗塞片麻痺ラットに行わせ、脳損傷後の回復過程においても感覚学習期から運動学習期への学習過程の変遷が見られることを実証し、リハビリテーション技術の高度化に寄与する。 前年度までに、健常ラットに選択反応時間タスクの逆転課題を学習させ、利き手の違いに着目して学習曲線を解析することで、一般の感覚運動連合学習が感覚学習期と運動学習期からなるのではないかとの知見が得られている。平成23年度は、脳損傷後の感覚運動連合学習が感覚学習期と運動学習期からなることを実証するため、選択反応時間タスクの逆転課題を学習させたラットに対して、順次、片側前肢感覚運動野に脳梗塞部位を作成して学習曲線データを収集した。その結果、片側前肢感覚運動野への脳損傷後の逆転学習において、対側前肢の機能を必要とする試行におけるエラー率の改善が逆の前肢に比べて遅いことがわかった。その原因として、片側脳損傷による感覚機能の低下と運動機能の低下が第一に考えられたが、脳損傷後の逆転学習の直前においてエラー率が脳損傷前と同レベルに回復していたことから、原因は片側脳損傷によって対側前肢に関連する学習機能が低下したのではないかと考えられた。この結果と前年度に得られている知見をとりまとめて学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題は、実験動物がタスクを学習した上で実施可能なものであり、訓練の過程では行わせたい課題とは関係のない行動を学習してしまうなどの予想できない困難が生じる場合がある。しかし、今のところ、そのような心配はなく、スケジュール通りに実験は進行しており、当初目的とした脳損傷モデル動物における学習過程の解明に必要なデータを収集可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、脳梗塞後のリハビリテーション過程においても感覚学習期から運動学習期へと段階を経た学習過程が存在し、それに応じた適切な機能回復訓練法あるいは訓練時期が存在するのではないかと考えている。これを検討するため、片側脳損傷ラットを作成し、左右前肢による選択反応時間タスクを行わせ、刺激前肢と反応前肢を健側と麻痺側で組み合わせた場合の学習曲線を得る。脳損傷ラットにおけるデータはまだ収集中であるが、最終年度には十分なデータが得られると考えられ、その学習曲線を統計解析することで、脳損傷後の回復過程においても感覚学習期から運動学習期への学習過程の変遷が見られるかどうか検討する。
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Research Products
(1 results)