2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500497
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Research Institution | 独立行政法人労慟者健康福祉機構総合せき損センター |
Principal Investigator |
植田 尊善 独立行政法人労働者健康福祉機構総合せき損センター(研究部), 研究部, 研究員 (00574138)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / 脊髄損傷 |
Research Abstract |
廃用による筋萎縮メカニズムの解明を行うため、まずマウス筋萎縮モデルとして、片側下肢強制外固定モデル、片側座骨神経切断モデル、胸髄完全切断モデルの3種類を確立した。いずれのモデルに於いても組織切片状では細胞核数の変化を伴わない急速な筋萎縮を認めた。脊髄完全切断モデル作成後、72時間では31%の筋萎縮が確認された。これらのモデルにおいて、経時的な発現遺伝子解析を行った結果、筋萎縮は非常にダイナミックな現象であることが示唆された。特に、骨格筋マーカー群、神経筋接合部遺伝子、萎縮マーカー遺伝子(Fox0、Fbox32、Trim63など)、骨格筋関連転写因子、細胞周期制御因子、クロマチンリモデリングに関わるSWI/SNFファミリーなどは筋萎縮後早期の劇的な変化が認められ、筋萎縮は単なる受動的なイベントではなく、転写活性が劇的に変化するactiveな現象であることが示唆された。さらに、筋萎縮の一方では同時に再生へ向けたイベントも生じており、特に筋分化に重要な役割をはたすクロマチンリモデリング因子Chd2が筋分化マスター遺伝子であるMyoDと供作用してエピジェネティックなメカニズムで分化に関わっていることが明らかとなった。一方で臨床的研究に於いては、総合せき損センターに損傷急性期より入院加療した患者の、経時的な筋萎縮の計測データを大腿周囲径ならびに下腿周囲径を計測した。その結果、完全麻痺患者と下肢不全麻痺患者間では大腿周囲径、下腿周囲径とも筋萎縮に有意な差を認め、麻痺の程度や回復に筋萎縮イベントは相関することが示唆された。しかし、萎縮が生じるタイミングには個人差が大きく、急速に萎縮の進行を認めた動物実験とは乖離する結果であり、今後の課題であると考えられた。
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Research Products
(4 results)