2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨伝導聴覚刺激によるP300応用意思伝達支援システムの実用開発
Project/Area Number |
22500502
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
千島 亮 信州大学, 医学部, 准教授 (80252112)
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Keywords | 骨伝導聴覚刺激 / 事象関連電位P300 / 意思伝達支援技術 / 脳波応用 / リハビリテーション / 支援技術 / BCI / 作業療法 |
Research Abstract |
事象関連電位P300成分(以下P300成分)はヒトにおける注意,集中,予測,探索,意思決定や記憶など,認知過程全般の脳実質の活動を反映する特徴的な脳波成分の一つとして理解されている.臨床医学における検査・診断では,その特徴成分の導出に極めて希に出現する視覚刺激(低頻度標的刺激)や視覚刺激を弁別選択させる課題(オドボール課題)が用いられることが一般的である.また,P300成分は目的的な事象解決に関連した脳の受動応答による長潜時内因性成分であり,課題遂行時の精神的耐久性など,課題処理過程での心理的状態が大きく関わることが知られる.本研究では,重度神経筋疾患者(児)のPCを介した新たな支援技術(AT)への応用としてP300成分に注目し,従来からの導出条件には用いられていない骨伝導聴覚刺激を用いた脳波応用支援システムの実用化に向けた研究を計画実施した.本年度は,より多くの健常成人の協力を得て(倫理審査により了解が得られた22名),骨伝導聴覚呈示に際しての頭部伝達特性を利用し,片側からの振動子固定による両側内耳刺激により呈示した骨伝導刺激条件においての目的成分の導出傾向について検証した.22名中21名において安定したP300成分の導出が可能であった.骨伝導による聴覚刺激においては,交叉性聴取されやすいという伝導特性の利点を活かした,より簡便な課題呈示と導出電極配置を含めたシステム構成が可能であることが示唆される結果が得られた.次年度からは,健常被験者において得られた目的的な成分導出によって選択可能な簡易の脳波応用支援システム(P300型BCIシステム)を構築し,その操作効率・精度に関する基礎的検討と,聴覚刺激条件に関わる課題と骨伝導聴覚刺激による課題呈示の有用性について検討を進めていく考えである.
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Research Products
(12 results)