2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500505
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松本 忠博 岐阜大学, 工学部, 助教 (00199879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 三保子 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 教授 (30194856)
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Keywords | 手話 / 手話文字 / SignWriting / 手話-日本語辞書 / 日本語 |
Research Abstract |
音声言語における文字と同じように,日常生活の中で手話を読み書きするための文字(書記体系)としてSignWriting(以下,SW)が提案され,ろう教育での教科学習などへの利用が海外の複数の国で試みられている.本研究では日本の手話使用者(手話学習者などを含む)のSWを利用した様々な活動を支援することを目的として,効率的な手話文字入力方式と手話-日本語間の辞書機能を備えた手話文書作成環境の提供を目指している.平成23年度は主に,SWを用いた手話-日本語間の辞書を実現するために必要となる,SWで記述された手話単語の同定手法について研究を進め,実験によりその評価を行なった. 現在市販されている手話辞典のほとんどは日本語から手話単語を調べる日手辞典である.これは手話に文字がないためである.本研究では,ユーザがSWで記述した未知の手話単語の意味を日本語で表示する手日辞書機能の実現を目的の一つとしている.この用途でSWを利用する際の問題点として,SW表記の自由度の高さがあげられる.SWは手の形や動きなどを表す図的な記号(文字)を2次元的に配置して単語を表現するため,人間にとって直感的に分かりやすい表記である反面,書き手によって同じ単語が異なる形で書かれたり,同じ書き手であっても配置のずれが生じたりため,計算機による単語の識別は容易ではない.本研究では比較対象となる2つの単語を構成する各記号の種類や位置関係などをもとに単語間の類似度を定義した.被験者のべ17名に手話のイラストと動画各10単語をSWで書いてもらい,その単語との類似度が高い順に辞書内の単語を並べたところ,正解が1位になった単語が55%,8位までに入った単語が80%であった.類似度のさらなる改良が必要だが,候補を8位まで提示してユーザに単語を選択させる方式であれば,辞書の実現に利用できるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SWで書かれた手話単語の同定手法が得られたことで手話-日本語辞書機能を実装する準備ができた.本研究で構築を目指している手話文書編集システムの主な4つの機能(jjs-SW変換入力機能,図形エディタ方式による手話単語編集,手話-日本語辞書機能,他のソフトウェアとの連携機能)は今のところおおむね計画通り実現できている.
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Strategy for Future Research Activity |
手話文書編集システムが備える主な4つの機能のうち,手話-日本語辞書機能の実装を,手話単語の同定手法を用いて進めるとともに,同定手法そのものの改良,辞書機能の実現に必要となるSW形式の手話単語辞書の登録語数の拡充を行う.また,これまで実装してきたjjs-SW変換入力機能,図形エディタ方式による手話単語編集機能等についても,研究分担者や他の使用者の意見を取り入れながらユーザ・インタフェースなどの改良を進めていく.
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