2011 Fiscal Year Annual Research Report
起立・歩行をアシストし要介護者を自立へ導くインテリジェントシルバーカーの開発研究
Project/Area Number |
22500510
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
新田 收 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80279778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 享 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (40251079)
高橋 良至 東洋大学, 人間環境デザイン学部, 講師 (30396931)
米田 隆志 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (90011030)
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Keywords | 起立動作 / 歩行支援 / シルバーカー / パーキンソン病 / 高齢者 / 機能維持 / コンピューター制御 / 電動車椅子 |
Research Abstract |
起立.歩行が困難な高齢者の代表的な疾患としてパーキンソン患者を対象として開発を進めてきた.パーキンソン病患者ではその動作の特徴として重心移動の円滑さが失われることが知られており,起立動作時介助を必要とする場合も多い.この現象は動作時に重心が後方に残ってしまうためであるとされているが,昨年度電動車椅子を利用し起立・歩行を援助するシステムの開発を開始した.試作機は市販の電動車椅子後方に2台のレーザーレンジファインダーとグリップ部に力覚センサーを装着したシステムであった.使用者の姿勢を読み取り,座位姿勢から立位姿勢まで車椅子が使用者の動作に同期して前進することで起立を助ける. 本年度はさらに支援動作プログラムの精度を向上させる目的で,パーキンソン患者が起立する動作のシュミレーションモデルを開発した.質点を重心,原点を足首としてTIP(Telescopic Inverted Pendulum)モデルを用いてモデルを構築し,床反力を入力することで重心軌跡を再現できることを確認した.これをもとに起立動作を重心速度で分類することで,各被験者がどれだけ重心を前方移動させればよいのかをシミュレーション上で求めた. 最後に剛体リンクモデルを使用し,目標とする重心位置まで導くために必要となる手すりの前方移動量を求めた.このことからパーキンソン患者の重心条件にあわせ,支援動作の速度・力も算出可能と考えられた.起立支援において,各患者に合わせ重心条件を適切に支援する事が重要である.今後本シミュレーションモデルを使用し,適切な重心条件を検証し,支援の指標とすることを支援プログラムに盛り込むことで支援制度向上が期待できる.インテリジェントシルバーカーのハードウエアに関しては,電動車椅子の椅子部分を取り外し,駆動部の上に起立・歩行動作支援を目的としたフレームを設計した.専用フレームでは立位時の安定性向上が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本体となる動力・センサー付きシルバーカーを設計し試作することを今年度目標としてきた.インテリジェントシルバーカーのフレームを設計し,試作を終えた.本フレームは高齢者の起立動作と歩行支援のために設計されており,動作の安定性が示された.このことで今年度目標を無事終えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
試作したフレームにレーザーレンジファインダーおよび力覚センサーを設置し,調整を進めている.使用者が座位から起立し,歩行する一連の動作をスイッチの切り替えなどすることなく,シームレスに支援できるようプログラムを完成させる. 駆動部分は電動車椅子駆動部を応用するが,起立・歩行支援のためのインテリジェントシルバーカー試作機を完成させる.最終的に高齢者・パーキンソン患者を被験者として動作確認を行う. 計画に大きな変更はない.
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Research Products
(10 results)