Research Abstract |
1.対象者が座位保持装置に座っている状態で脊椎の三次元変形形状を推定できるシステムの開発 骨盤部と頸部の三次元座標軸が与えられた時に,梁要素を用いた有限要素法により,脊椎個々の回転と平行移動を含む変換行列を求め,脊椎の変形形状を求める手法について開発を行った.また,マーカー(13個)を用いた三次元動作計測装置を利用して被験者が前屈,背屈,側屈,回旋時の姿勢の計測実験を行った.マーカー位置と脊椎の中立軸位置は異なるため,マーカー位置からオフセットした位置に脊椎の中立軸位置を推定する手法を考案した,そのオフセット距離を変化させて,脊椎の全長の伸縮量を推定した結果,被験者4名のうち,3名はオフセット量を60~80mmとした時に脊椎伸縮量がほぼ0となる脊椎中立軸位置を推定可能であることが判った.この推定した脊椎中立軸位置に脊椎の三次元人体モデルを表示する機能の開発も行った. 2.複数のカメラによる座標計測機能の開発 2台のUSBカメラによる画像を計算機に取り込み,カメラのキャリブレーション,対象物までの距離を計測するシステムを開発した.ドーナッツ形状のマーカーをカメラから300~1500(mm)距離離して計測した結果,最大誤差14.8(mm)で距離計測可能であった. 3.座位保持装置システムの開発 空気圧を利用して姿勢変換を行うことが可能な座位保持装置システムの基本システムの開発を行った.本システムは姿勢を変換するためのエアバッグ4個,エアポンプ1台,空気の吸排気を制御する電磁弁8個,バッグ内の圧力を計測するセンサ,これらを制御する入出力制御器,計算機から構成した.390×220(mm),高さ120(mm)のエァバッグをティルト・リクライニング車いす(Miki社)の頭部,左右体側部,大腿部に取り付け,被験者にマーカー(6個)をつけて計測実験を行った,エアバッグに独立に空気を注入することにより,頭部は150(mm)前方,頚切痕部は40(mm)左右,膝部は4l(mm)上方へ姿勢変換可能なことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者の脊椎の三次元変形形状を推定し,その三次元人体モデルを表示するシステム,姿勢変換を行うことが可能な座位保持システムに関しは,おおむね順調に進展している.ただし,カメラにより被験者に付けたランドマークを自動抽出して三次元座標を計算し,その姿勢を求める機能の完成はやや遅れており,そのためカメラで撮影した外観画像に,この脊椎の三次元人体モデルを重ね合わせて表示する機能も完成には到っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,カメラにより被験者に付けたランドマークの三次元座標を計算し,その姿勢を求める機能の開発に重点をおき,カメラで撮影した外観画像に,脊椎の三次元人体モデルを重ね合わせて表示する機能を完成させる予定である.また,推定した脊椎位置を検証するためには,脊椎を撮影したX線画像等が必要となるため,研究協力者にも要請してその入手に努めていきたい.座位保持システムに関しては,より簡易に姿勢変換を行えるようにするため,計算機による自動制御部開発を継続し,エアバッグの適切な配置や大きさについても検討を進めて行く予定である.
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