2011 Fiscal Year Annual Research Report
走行環境の認識による電動車いすの高機能化に関する研究
Project/Area Number |
22500521
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤本 真作 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (00278912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 浩治 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00254433)
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Keywords | 計測工学 / システム工学 / システム同定 / 車いす / パワーアシスト |
Research Abstract |
電動車いすの操作性は、ジョイスティックやハンドル(ハンドリムによる操作方法も含む。)およびBMI(Brain Machine Interface)の解析速度のみに依存するのではなく、むしろ車いすを取り巻く走行環境を正確に認識することで、電動車いすの高機能化を目指すことが重要であると考えられる。そこで本研究では電動車いすにも適用可能な安価で高性能な走行環境の認識法とその制御系設計法の確立を目的としている。走行環境の認識法として2段階のアプローチ法について説明する。第一段階目として、昨年度(H.22年度)製作したスロープを利用した走行環境(傾斜環境)の推定法である。以前に提案した推定法では加速度センサが利用されおり、整った環境下つまり、非常に平坦な路面では有効的な方法といえる。しかしながら、実環境における推定実験では、路面の凸凹や雑音の影響により加速度センサが振動してしまい、推定精度が著しく低下してしまう問題が生じた。そこで本年度は、加速度センサの代用として傾斜角センサを追加し、傾斜角と加速度情報を計測することを提案した。また、提案する動的推定法の有効性をシミュレーションおよび推定実験によって確認した。その結果、車いすが前進・後退の加速度運動をした場合でも、昨年度の結果0.3度よりも良い0.2度以内に走行環境の傾斜を動的推定できることを示した。第二段階目として、推定された傾斜角関数と入力トルクとの線形性を利用した逐次最小2乗推定法である。この方法により、車いすの動特性(総重量と粘性減衰係数)と、走行環境の詳しい状況(転がり抵抗係数)を認識することができる。その結果、走行環境の状況であるパラメータが正確に推定できていることを、シミュレーションによって確認した。また、パラメータ推定器からの情報に基づいた適応制御系設計を行い、その制御器の有効性をシミュレーションによって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
車いすを取り巻く環境の1つである路面傾斜の動的推定法において、研究当初(H.22年度)は加速度センサによってその傾斜角を推定していた。研究室レベルでは提案した推定法の有効性を示すことができたが、実環境レベルでは悪路走行時の振動や屋外の雑音によって加速度センサが過度に反応し、推定精度が著しく低下することがわかった。そこで昨年度(H.23年度)は加速度センサを使用しない新たな推定法を提案したため、この動的推定法の研究がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究において、傾斜角センサを2個使用した路面傾斜の動的推定法が、実環境レベルにおいても利用可能であることが示唆できた。また、その他の研究である「走行環境の(逐次最小2乗法)推定」や「制御系設計(適応制御)」はおおむね順調に進展しているため、最終年度(H.24年度)はその推定値を利用した走行環境の認識および、パワーアシスト機能を有する電動車いすの高機能化が十分可能であると判断している。
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