2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500526
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
西井 淳 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00242040)
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Keywords | 二足歩行 / UCM解析 / 子ども / ニホンザル / 関節間協調 / 関節間シナジー / UCM解析 |
Research Abstract |
生体は高い身体自由度を活用することで運動タスクを臨機応変に達成することができる。例えば、運動中にある関節の伸展が不十分であっても他の関節運動でそれを補うことにより目的の運動タスクを実現できる。本研究では、成人、子ども(10才)、ニホンザルの二足歩行の運動計測データに対してUCM解析を行うことによって、このような関節間協調(関節間シナジー)が歩行中のどの様なタイミングにどのように活用されているかを調べ、その比較検討を行った。その結果以下の点が明らかになってきた。 20代の健康な成人の歩行においては、脚を前に振り出す際の足先が最も床と近付く瞬間に、その足先の高さを調節する関節間協調が強く働いていることがわかった。このことは,関節間協調がつまずきを防ぐために活用されている事を示唆する。また、立脚相終期の両脚支持期においては、腰の位置を調笛する関節間協調が強く働いていることがわかった。このことは、歩行の安定化を図るために関節間協調を活用して両脚支持期に体幹の姿勢を調節していることを示唆する。子どもやニホンザルの二足歩行においては、足の振り出し時のつまずきを防ぐ関節間協調は成人と同様に観察されたが、両脚支持期において腰の位置を調節する関節間協調は被験者によって観察されない場合もあった。このことは学習や成長もしくは進化の過程で歩行の制御戦略が変化している可能性を示唆する。次年度以降はより被験者数を増やすことで初年度に得られた知見の検証を進めていく予定である。
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