2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼児における基本的運動能力と日常身体活動との関係?量および質的側面からの検討?
Project/Area Number |
22500528
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所, 教授 (80178673)
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Keywords | 幼児 / 基本的運動 / 質的評価 / 身体活動量 |
Research Abstract |
本研究は,幼児の日常における身体活動量やその内容について調査し,それが基本的な運動遂行能力とどのようなかかわりがあるかを量的,質的にとらえ,実態把握するとともに,総合的な身体能力の向上に向けたプログラム作成に向けての基礎的な資料を提示することを目的としている. 今年度は,昨年度までの予備調査および幼児を対象とした測定結果等を受け,さらなるデータの蓄積を目的としてあらたに2か所の幼稚園において昨年度と同様の身体活動量と運動能力の測定を行った.約一週間の継続的歩数測定の結果は,平均で約10,000歩程度であり,男児に比べて女児の活動量が少ないこと,通園する平日に比べて休日の活動量は平均値でみると低いこと,および休日では個人差が非常に大きいこと等がこれまでの結果同様に確かめられた.一方,身体活動量と総合評価としての基本的運動能力との間には一定の相関関係がみられた.しかしながら運動の項目別にみると活動量との関係性がみられないものもあった.すなわち,日常の身体活動量が多いことが必ずしもすべての運動要素の獲得とその習熟に強くかかわるとは限らないことが推察された.したがって子どもの身体の動きとしての日常活動を考える場合には,単に数値として測れる量(歩数や強度)だけでなく,どのような運動を行っているかについても観察的な手法によって詳細にとらえていく必要性が認識された.また分析にあたっては,量的な測定にはなじまない動作の質的評価方法についても実用に向けて検討を加える必要があると思われた. さらに今年度は,測定を実施した園の保育者から,子どもたちの普段の活動状況ならびに調査以後の幼児の活動状況(遊びの変容や運動志向など)についての聞き取りを試みた.今後の有効な運動プログラムの作成のための資料に加えたいと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の予備調査ならびに本調査実施園での測定状況ならびに測定結果を踏まえ,本年度は新たに他の幼稚園において予定の実施項目についてデータを得ることができたことは当初の計画どおりである.しかしながら,データ分析において動作の質的な評価法については若干検討すべき点がみられ,今後それを解決しながら進めていく必要があると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度に当たる.今年度までに蓄積した幼児の身体活動量と基本的運動能力のデータの分析結果に基づいて,補足,追加の測定・調査を実施する.数例の幼児を個別に対象として,日常の身体活動を映像で記録し観察手法を用いて分析することによって,活動の内容と基本的動作の習熟との関係を明らかにしていきたい.また,動作の分析にあたっては,動きの質的な評価の妥当性にも検討を加える. 幼児に適切な運動プログラムの提案につなげられるよう,研究の成果を総合的にまとめたい.
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