2010 Fiscal Year Annual Research Report
運動伝承における実践知獲得のためのキネステーゼアナロゴン移植の試み
Project/Area Number |
22500532
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石田 譲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90113654)
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Keywords | 運動伝承 / キネステーゼアナロゴン / 移植 |
Research Abstract |
運動発生に関わる運動メロディーを奏でるためのコツをつかむためには、その動きの感じが似ているキネステーゼアナロゴン(動感類似例)を抽出し、さらに移植することが重要である。本研究では、アナロゴンの整理、類型化、アナロゴン移植の運動財、移植先の実践現場、学習者等について細部を検討し、ついで、実践現場において、アナロゴンの移植と共に運動が発生するまでの一連の動きについてたどることとなる。その際には、抽出したアナロゴンを実際に移植しながら、アナロゴンを運動毎に類型化し、さらに学習者をその発達段階や運動経験により類型化することによって、運動伝承に関わるなじみの地平を生み出す根拠を整理統合し、どのようなアナロゴンが、どのような学習者にとって、どの段階で移植が可能なのか、体系化し、運動実践の場に還元、提供していくことを目指している。 上記のような計画を達成するために、平成22年度では、粗削りな動きのかたちができていく道筋を迫っていくことに努めた。非日常的な運動については、初期の個体発生が起こりそうな幼児期や小学校低学年の運動について取り上げ、その様相をつぶさに観察することに努め、運動者の世界に入りながら、その世界でのなじみの知をもたらす原感情に関して考察を進めてきた。また、日常的な運動に障碍を持つ子どもたちに関してその世界に入り込む努力をしながら、歩、走、跳等の基本的な運動の発生現場に立ち会った。ここでもキネステーゼアナロゴンの移植作業のためには、環界と運動者とのより広い関わりについて理解しながら、なじみをもたらす原感情の世界に潜入することが重要であることが確認された。
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