2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動伝承における身体知獲得のためのキネステーゼアナロゴン移植の試み
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22500532
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
石田 譲 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90113654)
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Keywords | 運動伝承 / キネステーゼアナロゴン / 移植 |
Research Abstract |
キネステーゼ世界における運動発生に関わる運動メロディーを奏でるためには、キネステーゼアナロゴンの抽出と移植が重要である。本研究では、アナロゴン移植の妥当性の検討を行い、アナロゴンを運動毎に類型化することによって、どのようなアナロゴンが、どのような学習者にとって、どの段階で移植が可能なのかということを体系化し、運動実践の場に還元、提供していくことが本研究の骨子である。 上記のような計画を達成するために、平成22年度は障がい者の日常運動とスポーツ運動について,その発生機序について検討を進めてきた。その結果同じ症候群の名でくくられている障がい者であっても、その発生のための道筋づくりは一様ではなく、生まれてから今までの周界との関係を抜きにしては運動者の動感世界の解明は果たし得ないことが現実の実践のなかで明らかになってきた。また、それらの障がい者の原感情・原動感というべき、自らがそのように動きたいという感情を捉えることにより、本研究の骨子であるキネステーゼアナロゴンの抽出とその移植が理解され、可能になることが実践の場で明らかになってきた。 これらのことにより、これまでの障がい者に対しての多くに見られるように障がい者の運動を、物体の運動として扱うように転ばないように支え、また支えて歩かせているといった、主体のない、動かされている、自己運動ではない世界での運動実践がなされてきたものが、自己運動や主体概念を人間の運動に導入したヴァイツゼッカーの教示のように、障がい者の運動にも導入出来る可能性が拓けてきた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで人間の感覚に潜入することは困難なことが多かったが、本研究で現在まで取り組んできた、言葉やその他の方法で自分の動感世界を表に出してくれていないと思われていた障がい者の運動を,厳密に分析してみると、実際には大変豊かな感情表現を行っていることが読み取れ、これらのことから動感世界の深層にたどり着く可能性を見出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
キネステーゼ世界における運動発生に関わる運動メロディーを奏でるためには、キネステーゼアナロゴンの抽出と移植が重要である。これまで本研究では、障がい者の運動を取り上げてきたが、そこでは障がい者の原感情・原動感というべき、自らがそのように動きたいという感情を捉えることにより、本研究の骨子であるキネステーゼアナロゴンの抽出とその移植が理解され、可能になることが実践の場で明らかになってきた。 これらのことを手がかりにして、今後は昨年度まで資料を収集してきた特に児童の運動について運動者自身の動感世界に切り込むための周界と主体との関係やなじみの地平或いは原感情・原動感といったキネステーゼ移植の手がかりとなるものの検討を行い、動感のモナドとして、具体的なそれぞれの運動に体系化して配列し、実践の場に供したいと考えている。
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