2011 Fiscal Year Annual Research Report
「追いかけ鬼」が及ぼす体力・運動能力の向上効果とその指導モデルの開発
Project/Area Number |
22500538
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宗倉 啓 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (20154685)
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Keywords | 追いかけ鬼 / 宝運び鬼 / 児童 / 体力・運動能力 / 鬼遊び教材 / 指導モデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、「追いかけ鬼」を一定期間実施することによる児童の体力・運動能力の向上効果を明らかにし、さらにその結果を参考にして、追いかけ鬼の指導モデルを開発することである。23年度は、計画通り、具体的な追いかけ鬼として「宝運び鬼」をとりあげたが、予備調査の結果、一般的なルールだとできる者とそうでない者との間に大きな技能差が生じるため、授学的改変を加えた「修正たからじまゲーム」を考案した(1チーム5人構成、攻撃と守備の時間交代制、コートは11m×22m、守備チームは鬼ゾーン2カ所<1.5m×11m>のみ行動可、攻撃チームは腰に2本のしっぽをつけスタート地点から宝をコート後方の宝島へ運ぶ、攻撃側は時間内にしっぽを2本とも取られない限り何回でもスタート地点に戻り宝を運ぶこと可、勝敗は運んだ宝の数と獲得したしっぽの数の合計によるチーム対抗戦)。本教材を小学3年(実験群36名、統制群37名)を対象にして1日あたり20分間、6日間実施した処以下の知見を得た。 1.実施前後の体力・運動能力テスト結果については、実験群において「ケンパー跳び」「反復横跳び」 「全身反応時間テスト」において平均値に向上がみられ、また「ケンパー跳び」では全体及び男子に、「反復横跳び」では全体及び男子、女子において統計的に有意な差が認められた。 2.本教材の特徴は一般的な宝運び鬼のルールとは異なり、宝を宝島へ運ぶというストーリー性の導入、運んだ宝の数と獲得したしっぽの数の合計をチームで競う対抗戦の導入、攻撃側の行動を保障するために防御側が行動できる空間上の制約ルールの導入であった。質問紙調査の結果、夢中になれる楽しさについて回答する児童が多かったことからも、学校や幼稚園では、未分化遊びの一般的な宝運び鬼ではなく、本教材のような教授学的改変教材を導入することが妥当である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.計画通り22年度は二人組鬼の中の「修正ネコとネズミ」、23年度は宝取り鬼及びボール運び鬼の中の「修正宝運び鬼」を考案・実施し、両者が児童の体力・運動能力の向上に好ましい影響を及ぼしたことが明らかとなった。 2.「指導モデル試案」は作成済みであり、24年度ではその妥当性の検証を行った後に指導モデルを確定する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「指導モデル試案」をこれまでと同様の方法で実施・測定し、検証する。 2.各教材の目的、ルール、コート(場)、方法、1授業あたりの実施時間、1単元あたりの実施期間について検討を加え、「指導モデル」を確定する。 3.「指導モデル」では、小学校教諭や幼稚園教諭がわかりやすく、見やすく、指導しやすいように、写真、図、教具の作り方も加えたパンフレット状の「指導書」版を作成する予定である。
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