2011 Fiscal Year Annual Research Report
実践力のある体育教師養成のためのデータベース構築に関する研究
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22500540
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
新保 淳 静岡大学, 教育学部, 教授 (30187570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 聡 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30173157)
高根 信吾 富士常葉大学, 総合経営学部, 講師 (70440609)
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Keywords | 実践的指導力 / 反省的実践家 / 授業映像 / データベース化 |
Research Abstract |
本年度は、昨年までの授業撮影の方法とその編集方法およびデーターベース化のためのサーバーへのアップの仕方およびその書き込み分析方法を用いて、これまでは、一時間ごとの細切れ授業だけでなく、一つの単元全体をデーターベース化することのメリット・デメリットについて検証することにあった。そのため、1)単元全体を撮影する。2)映像編集を行う。3)ビデオ映像ファイルをビデオ共有システムのサーバーにアップする。4)共同研究者がそれぞれビデオ映像を視聴しながら、コメントを書き込む。5)ビデオ映像をもとに「授業者の発言」を活字化する。6)単元全体について、共同研究者間で意見交換を行う、というものである。 研究結果としては、授業者の「仕掛け」をきっかけにしながら子どもたちが育っていくまでの時間はそれぞれであり、「仕掛け」に即応して育ちを見せる者もいれば、当然、時間がかかる者もいる。だからこそ、授業者は、授業において「仕掛け」続け、時には別の「仕掛け」を用意するのである。従って、授業における「仕掛け」とその反応や効果といった検証は、1時間という授業内で可能なものばかりではない。1時間の授業内で結果を求めることが拙速であることも大いに考えられる。従来の「点」の授業研究に加え、「線」の授業研究の可能性を探る理由はここにもあることが明らかにされた。 また、海外の教員養成事情を探るために、8月から9月にかけて、オーストリアのグラーツ、およびイギリスのカーディフを訪問し、教員養成そのものについての日本の考え方の違いを明確にすることができた。 授業における実践力は、1時間の授業構想に留まるものではなく、単元全体の、あるいは学期、年間の構想において練り上げられる必要がある。そしてそれを具体的な教師の能力として実現するための新たな研修方法が提案されねばならないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一時間ごとの授業実践の映像化とそのデーターベース化から、単元全体の授業実践の映像化とそのデーターベース化について、そのメリット・デメリットについて明らかにすることができ、それによって、保健体育教師としての実践力を向上させるための方法論とそのための映像活用の方法が明らかにされつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度として、これまでに蓄積された授業映像を基にし、教員養成のための講義を実践するとともに、その実際の利用状況から得ることのできた映像撮影の仕方等について工夫を加えて、さらに多くの授業撮影を実施するとともに、そのアーカイブ化を行なう。また、昨年度実施した、単元全体のアーカイブ化をさらに拡大し、中学校の授業においても、それを試みる(新保、高根)。 以上のデータをもとに、研究最終年度のまとめとして、体育教師として着任当初から、自己の授業実践を見つめるまなざし、すなわち「反省的記述」が行えるとともに、それを継続する中で、教師自らの「実践力」を高めることのできる「自己展開的」な体育教師養成の方法について理論化を試みる(樋口、新保)。
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Research Products
(7 results)