2012 Fiscal Year Annual Research Report
体育カリキュラムに影響を及ぼすローカルレベルのポリティクスに関する研究
Project/Area Number |
22500541
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
井谷 惠子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (80291433)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 体育カリキュラム / ポリティクス / 体つくり運動 / スポーツ / 武道 |
Research Abstract |
本研究では,体育カリキュラムの策定と実行に際して機能する教育委員会や学校のローカル・ポリティクスの視点から,具体的な地方教育委員会とその傘下にある学校に焦点を当て,そのダイナミクスを検討した。研究において焦点化した内容は,平成20年に改訂された新学習指導要領であり,特に体つくり運動の強化,武道・ダンスの必修化,スポーツ志向に伴う競争と協同の視点から検討を行った。研究の成果は,次の3点にまとめられる。 カリキュラムと政治の諸関係を検討する批判的教育学は,多くの国々で進行している教育改革における新自由主義的・新保守主義政策や実践の影響に注目し,より民主的で多様な人間存在を尊重する教育の構築に資する知識を蓄積しつつある。 平成20年改訂の学習指導要領は,教育基本法の改正(H18)を契機に改訂され,体つくり運動の重点化,基礎基本・系統性の重視,ダンス・武道の必修化など,体育・保健体育の内容に保守的な方向性をもたらした。体力向上への諸施策は,個人がゆたかに生きる権利を保障する観点よりも,人的資源としての体力や健康管理的視点,他との比較や回顧的な側面が強い。武道の必修化は,施設や指導者,教育内容の準備が不十分なまま拙速な導入となり,その結果,安全面への配慮が突出して強調される状況を生み出した。また,競争を特性とするスポーツが主たる学習内容であり,小学校ではスポーツ中心カリキュラムの傾向が強まった。 フィールド調査の対象とした学校では,政策的な方針に従順であるだけではなく,教員が学校や学習者の状況を見合う授業づくりを重視し,教科の目的や内容・方法に関して柔軟な姿勢を持っている。例えば,武道の安全性最優先の方針に対して,安全配慮しつつも,学習者に武道の醍醐味を伝えようとする態度が見られた。教育委員会の機能や役割に対して多少距離を置いた見方を持ち,教育政策についての批判的思考がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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