2011 Fiscal Year Annual Research Report
体育科における教科内容策定を企図した運動感覚論的アプローチ
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22500544
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
梅野 圭史 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (30263875)
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Keywords | 運動感覚論 / 走の運動 / 認知的内容 / 技術的要因 / 重回帰分析 / 小学生 |
Research Abstract |
本年度の研究は,走行運動におけるperformance発揮の違いによって,学習者(小学生)の主観的な情報の認知がどのような客観的な技術情報から得られているものなのかについて実験的に明らかにすることを目的とするものである。すなわち,小学2年生・小学4年生・小学6年生のそれぞれ13名の計39名を対象に,走行運動(50mの直線コース)を題材に,6つの努力課題(「非常に速く」から「ふつうに」を経て,「もっとゆっくり」まで)でのperformance発揮の違いにより,主観的な認知的内容と客観的な技術的要因との関係を重回帰分析により明らかにした。 まず,各種の努力課題における歩行の平均速度と変動係数を算出した結果,いずれの学年も努力課題が軽度になるにつれて平均速度は逓減し,それらの速度レベルは6年>4年>2年の順であった。しかしながら,各種の努力課題における変動係数からは,学年に関係なく,「ゆっくり」と「もっとゆっくり」の低速課題で変動係数が顕著に大きくなる結果が認められた。これより,「非常に速く」から「ふつうに」の4つの努力課題下の試技を分析対象とした。重回帰分析を施した結果,2年生では歩行運動の場合と同様に認知的内容に関係なく,技術的要因が固定化している結果であった。すなわち,脚の前傾角と大腿の後方への振り角による蹴り出しである。これが4年生になると,肩関節角を中心に「腕の振り込動作」と「腕の振り上げ動作」によりスピードをコントロールするようになった。その後,6年生になると肘を曲げた素早い腕の振り上げによってピッチを高めるようになり,比較的正確な認知となることが認められた。これらのことから,2年生は乳幼児からの走行がステレオタイプ化しているものと考えられ,その後高速走行に対する認知が4年生以降から正確になってくるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,歩・走・跳運動におけるperformance発揮の違いによって,学習者(小学生)の主観的な情報の認知がどのような客観的な技術情報から得られているものなのかについて実験的に明らかにすることを目的とするものである。すなわち,小学2年生・小学4年生・小学6年生のそれぞれ13名の計39名を対象に,歩行運動(1周200m),走運動(50m走)と跳運動(走り幅跳び)を題材に,様々な努力課題でのperformance発揮の違いにより,主観的な認知的内容と客観的な技術的要因との関係を重回帰分析により明らかにする。平成22年度では歩行運動について,平成23年度では走運動について,それぞれ明らかにしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,小学2年生・小学4年生・小学6年生のそれぞれ13名の計39名を対象に,跳運動(走り幅跳び)を題材に,様々な努力課題でのperformance発揮の違いにより,主観的な認知的内容と客観的な技術的要因との関係を重回帰分析により明らかにする。これまでの歩行・走行運動における実験方法とほとんど違いがないため,円滑に実験ができるものと考えている。
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Research Products
(1 results)