2011 Fiscal Year Annual Research Report
体育授業における子どもの認識発達に関する研究-感想文分析の枠組みの設定
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22500557
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90314715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 俊雄 梅光学院大学, 子ども学部, 准教授 (50441621)
口野 隆史 京都橘大学, 人間発達学部, 教授 (60192027)
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Keywords | 運動的認識発達 / 感想文分析 / 授業方略 / 体育授業 |
Research Abstract |
2011(平成23)年度の研究は,大きく二つの枠組みを設定していた。 (1)子どもの感想文に表れた文章表現を読み取るための理論的枠組みの設定。特に,教科教育学研究としての,子どもの感想文を読み取る枠組みの設定である。 (2)実際の子どもの感想文をどう読み取るのか。 (1)に関しては,K.マイネルに代表される身体運動学的な立場や,ピアジェなどの個人主義的心理学的立場などがある。しかしながら,ヴィゴツキーがピアジェの方法に反論したように,教える-学ぶという関係に置き直す必要がある。そのため,教科教育学研究としての子どもの感想文研究としては,教師が教えようとした内容を子どもがどう受け取ったのかという関係で読み取ることの必要性を明らかにした。 (2)教科教育学研究としての子どもの感想文研究として次の二つを明らかにした。まず,「できる」ことを目指す二つの授業のうち,運動技術的なポイントを明確にした場合と,明確にしない場合という,違うスタイルの教師の指導と子どもの感想文の傾向を比較した。その結果として,前者の場合は,技術的なポイントの記述はあったものの,思考してたどり着くという記述は見られなかった。後者の場合には,感想に深い思考が見られたが,技術的なポイントの記述は少なかった。 また,同じ指導案と授業形式で同じ学年(6年生)の子どもを対象にしたベテランと若手の授業を撮影して,教師の授業スタイルの違いが子どもの感想文にどのような違いを及ぼしたのかを探った。その結果,ベテランと若手の子どもたちの感想文には明らかに違いが出た。その違いは,記述の数と質である。これについてはもう少し丁寧な検証が必要であるが,ベテラン教師の方は,授業で技術的なポイントを大切にし,若手の方は仲間や組織を大切にしていた。ベテランは,技術的なポイントの交流を狙っていたことが結果として仲間や組織を大切にすることになったと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,一昨年度の11月に追加で採択されたため,研究組織の構築が2月になってしまった。そのため,約半年分遅れているといえる。しかしながら,研究を進めていくなかで,進めるべき道筋が鮮明になってきたり,当初の計画から無駄を省いてすすめてくることができたとも言えるため,順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度が,最終年度になるがこれまでの研究から,明らかにすべき課題と仮説が明確になっているので,分担してフィールドワークを行い,その結果を分析して発表するだけである。研究が比較的順調なので,このまま進めていきたい。
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Research Products
(5 results)