2011 Fiscal Year Annual Research Report
野球の投球における投球腕の拮抗筋活動がボール速度に及ぼす影響
Project/Area Number |
22500568
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小嶋 武次 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 講師 (20111437)
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Keywords | 投球 / ボール速度 / 拮抗筋活動 / シミュレーション |
Research Abstract |
投球動作終盤に体幹近位の関節でのブレーキ作用がボール速度に及ぼす影響を調べることが、本研究の目的である。そのため、野球経験者1名の投球動作を、複数台の高速度カメラで撮影した。その中でボール速度が最大の試行(124km/h)について、逆動力学を用いて、体幹から投球腕の手までの関節の発揮トルクを求めた。そして、それらの発揮トルクを、コンピュータシミュレーションにおける筋の活動水準の時系列を決める際の手がかりにした。 体幹、上腕、前腕と手+ボールをそれぞれ剛体と仮定して、それらからなる4リンクセグメントモデルをAUTOLEVを用いて作った。体幹の自由度は2とし、長軸と左右軸周りの回転とした。肩、肘(前腕)と手の各関節の自由度は、それぞれ3、2(屈伸、回内外)、1(掌背屈)とした。関節運動を生起させるために、各関節に自由度の数と等しいHill型のトルク発生器を筋の収縮要素の代わりに用意し、それらの発生器の活動水準をモデルへの入力として、シミュレーションを行った。その結果、ボールリリース直前からリリースまでの投球のおおよその動作をシミュレートすることが出来たが、前腕の回内動作については実際の動きと大きくずれており、ボールの投球方向に大きく影響するため、今後改良する必要がある。 ヒトの筋では、収縮要素に直列に弾性要素がつながっているので、この研究でも、直列な弾性要素を組み込むことを考えた。AUTOLEVでは、直列弾性要素を組み込むと、入力の様式によっては解が得られない場合が発生することが判明した。そのため、この問題を解決するために時間を費やした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたより、前腕の回内動作のシミュレーションが難しいことが大きな原因である。また、AUTOLEVで用いられている極めて一般的な数値積分のプログラムでも、場合によっては計算不可能な事態が生ずることがあったためでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
前腕の回内動差のシミュレーションの精度を上げる工夫を行う。また、被験者数を増し、結果の一般化を図る。
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