2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500570
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
仁木 國雄 電気通信大学, 宇宙・電磁環境研究センター, 客員研究員 (80208248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨澤 一郎 電気通信大学, 宇宙・電磁環境研究センター, 准教授 (50111696)
金子 克己 電気通信大学, 実験実習支援センター, 技術専門職員 (90377036)
斎藤 悟 電気通信大学, ものつくりセンター, 技術専門職員 (50573151)
阿部 修 独立行政法人防災科学研究所, 雪氷防災センター新庄支所, 研究員 (70414406)
香川 博之 金沢大学, 機械工学系, 講師 (40251938)
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Keywords | 計測工学 / トライボロジー / 表面・界面物性 / 雪 / スキー / 摩擦係数 |
Research Abstract |
スキーが他の固体摩擦に比べ特別に良く滑る現象は、欧米では摩擦融解説を基礎にした潤滑摩擦として説明されているが、そうとも言えない事実が幾つか指摘されている。我々はこれまでに、摩擦融解による水の発生しにくい短い滑走体の低速度の摩擦係数が温度が低い方が小さく、-10℃程度で最小値を示すことを見出した。さらに、其の値が良く滑る事で知られている高速度に於ける実際のスキーの摩擦係数と同程度となることを見出した。すなわち、摩擦面に融け水が発生しなくてもスキーの低摩擦は説明できる可能性があることを示した。 ところで、摩擦研究の難しさは真実接触面積が測定困難で、摩擦メカニズムが特定しにくいところにある。我々は今回、雪の粒子径を変えることにより、真実接触面積が大きく異なる状態を作り出した。そして、小さな粒子の場合に、静止摩擦係数に温度依存性が、低速度の動摩擦係数に速度依存性を生じることを見出した。また、これらの摩擦係数に顕な荷重依存性が観測されないことも確認した。これらの実験結果から、静摩擦と低速度に於ける動摩擦力は雪とポリエチレンの接触面における凝着力のせん断応力であると考えられる。 これまでの研究成果として、静摩擦と動摩擦を統一的に把握できることが解った。すなわち、静摩擦係数と低速度に於ける動摩擦係数は、雪とポリエチレンの接触面における凝着力が温度の上昇に従い強くなる事で説明できる。ただし、融点の極近傍では、凝着力が強くなる一方でそのせん断応力が急激に弱くなるため、動摩擦係数が小さくなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静摩擦と動摩擦を統一的に把握できることが解った。本来の研究目的の実際のスキーの摩擦そのものは未だ解明できていないが、動摩擦を考える道筋ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験から、スキーの摩擦には二つのメカニズムが働いているごとが予想される。 すなわち、低速度で融点に近いところで主役となる凝着力のせん断応力については今回明らかにできた。今後は、低温で速度上昇と共に微増する摩擦係数について研究する必要がある。
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