2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹之内 隆志 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (50252284)
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Keywords | スポーツ発達心理学 / スポーツ選手 / 自我発達 / 危機 |
Research Abstract |
本研究の目的は,スポーツ選手のパーソナリティや心理的競技能力の発達の特徴,およびこれらの発達に影響する経験を発達段階(中学期・高校期・大学期)ごとに明らかにすることである.また,これらの点について発達差を確認することで,スポーツ選手の心理的問題を発達段階ごとに検討する「スポーツ発達心理学」といった新たな学問領域の構築必要性を示すことも目的である.本年度は,パーソナリティとしては自我発達に着目し,スポーツ選手の経験としては日常生活や運動部活動における危機経験(迷ったり悩んだりする経験)に着目し,これらについて大学スポーツ選手に調査を実施した.そして,危機経験は男女や競技レベルで若干異なるが,総じて「競技成績」と「職業や進路」における危機経験の程度が高いことを明らかにした.また,男子では「チームメイト」「競技成績」「競技継続」「チーム運営」「生き方や価値」「同性の友人」での危機経験が,女子では「チームメイト」「競技成績」「チーム運営」「怪我」「勉強」「職業や進路」「生き方や価値」「異性の友人」での危機経験が,自我発達に関連することを明らかにした.次に,これらの大学選手の結果に加えて,中学・高校選手の結果(竹之内ほか,2006)を参照し,自我発達に関連する危機事象の発達的変化を検討した.そして,「指導者」での危機経験は中学・高校選手でのみ自我発達に関連し,逆に「競技継続」や「異性の友人」での危機経験は大学選手でのみ自我発達に関連する,などの発達差を明らかにした.以上のように,スポーツ選手の自我発達に関連する危機事象には発達差がみられた.このことは,スポーツ選手の心理的問題を発達段階ごとに分析する必要性を示唆しており,そのような分析による知識の蓄積を目指す「スポーツ発達心理学」の構築必要性や意義が確認された
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Research Products
(2 results)