2011 Fiscal Year Annual Research Report
知識の創発と資源化をもたらす実践コミュニティがスポーツ組織の自律性に及ぼす影響
Project/Area Number |
22500578
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
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Keywords | スポーツ組織 / 実践コミュニティ / すみ分け / 組織市民行動 / 創発 / イノベーション / 相互関係性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実践コミュニティに焦点を当て、地域内に散在するこの集団がスポーツ組織の知識の創発と資源化にどの様に機能するのか、またそのコミュニティ間の有機的関係や進化がスポーツ組織の自律性にどの様に影響するのかを明らかにすることにある。今年度は、地域内のスポーツ組織の融合とすみ分けに関するケーススタディと、組織内における役割外行動と組織外との連携や連動といったネットワーク化が実践コミュニティを深化と進化させるNPO法人を対象とした定量調査を実施した。 地域内スポーツ組織の融合とすみ分けに関しては、スポーツ・キャリアの形成を阻害する「引退」という日本のスポーツ振興システム上の問題に対して、学校の運動部と地域スポーツクラブが連携を図りながら、単なる参加者の競技力向上だけでなく、スポーツ参加継続率の向上、さらには、指導者間の知識の連結と融合を図る富山県少年硬式野球協会とおやべスポーツクラブのケースを、定量的かつ定性的に分析した。また実践コミュニティの深化と進化にかかわる組織行動については、スポーツNPOを対象にした組織市民行動に関する定量的調査を実施し、社会的ミッションを担うNPO法人がそれを遂行するために、資源確保とその機能化を図るために、組織内外に対する働きかけの内実と目標の共有化が組織市民行動を促進するということを明らかにした。 人と人、組織と組織だけに限らず、概念、アイディア、技術などのつながりや結合が思わぬ新しい価値を生み出すという創発の仕組みをさらに解明する必要があるとともに、創発がイノベーションや組織の進化をもたらすという実態を、相補的な関係に基づく組織間の相互関係性に関する内実を、さらに検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の根幹となっていたケーススタディがまだ不十分であること。組織行動が可変的であるため、交付申請時とは、スポーツ組織の活動や状況、また組織の内実といった状況が異なり始めた。この研究目的に掲げた組織現象を捉えるために、ケースの変更や研究の着眼点を付加し、成果が上がるように対応したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、再度、定量的調査の実施も検討しているものの、ケーススタディをできる限り進めたい。先にも記したが、組織行動が可変的であるため、ケースの変更や研究の着眼点を付与しながら、研究目的に掲げた知識の創発と資源化がもたらす実践コミュニティの内実を捉えるように工夫し、研究成果が上がるように努めたい。
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Research Products
(2 results)