2012 Fiscal Year Annual Research Report
知識の創発と資源化をもたらす実践コミュニティがスポーツ組織の自律性に及ぼす影響
Project/Area Number |
22500578
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長積 仁 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80274190)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スポーツNPO / 実践コミュニティ / 組織市民行動 / 心理的エンパワーメント / 自律性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、実践コミュニティに焦点を当て、地域内に散在するこの集団がスポーツ組織の知識の創発と資源化にどの様に機能するのか、またそのコミュニティ間の有機的関係や進化がスポーツ組織の自律性にどの様に影響するのかを明らかにすることにある。 今年度は特に、地域におけるスポーツ振興において重要な役割を担っているボランタリー組織に焦点を当て、組織のミッション遂行に影響をもたらすボランタリー組織特有の組織特性を把握するために、組織市民行動を手がかりに運営上の問題や課題、運営従事者が抱える職務上のストレス、またそれらスタッフがミッション遂行と職務上のストレスでジレンマを抱えながらも、組織運営にかかわり続ける心理的源泉に着眼し、その関係性を定性的かつ定量的に把握した。 研究目的を遂行するために、2つのデータを収集し、1つは、NPO法人で組織運営に携わる事務局スタッフに対して、半構造化面接法によるインタビュー調査を実施した。もう1つは、スポーツ分野を主たる事業領域とするNPO法人の組織運営従事者に対して、郵送法による質問紙調査を実施し、698法人(回収率:25.1%)から有効な回答を得た。 特に心理的に消耗するNPO法人のスタッフの現況を勘案し、その様なスタッフの心理的源泉と組織のミッション遂行に影響を及ぼす組織市民行動に焦点を当て、分析を進めた。その結果、Spreitzer(1995)に基づき、作成された「心理的エンパワーメント」は、Organ(1988)に基づき、作成された「組織市民行動」に有意な影響力を示すことが明らかになった。さらに組織の成果などとの関連性についても分析し、次年度は、ステーホルダーとの組織間関係をめぐるコンフリクト、知識の創発や資源化について、データの収集と分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケーススタディがまだ不十分であること。組織行動が可変的であるため、交付申請時とは、スポーツ組織の活動や状況、また組織の内実といった状況が異なり始めた。また組織の現況や運営の様相を捉えることに時間がかかりすぎ、組織間関係の様相やそこから産み出される「創発」の部分に十分踏み込めていないことがあげられる。この研究目的に掲げた組織現象を捉えるために、ケースの変更や研究の着眼点を付加し、成果が上がるように対応したい。
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Strategy for Future Research Activity |
定性的かつ定量的データの獲得ができたため、そのデータの精緻な分析を進めるともに、そのエビデンスを元に、さらにフレームワークの再構築を図りたい。特に経営環境が異なるスポーツ組織の分析は困難であるため、組織をカテゴライズして、得られた結果を般化する差魚にエネルギーを注ぎたい。
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Research Products
(1 results)