2010 Fiscal Year Annual Research Report
捕捉動作における認知・予測・運動制御スキルと動作失敗メカニズムの検討
Project/Area Number |
22500588
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
竹市 勝 国士舘大学, 政経学部, 教授 (30265962)
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Keywords | 捕捉動作 / 認知特性 / 予測特性 / 運動制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「認知・予測・運動制御の各局面におけるパフォーマンスと捕捉運動パフォーマンスの関連」と「各局面への訓練が運動パフォーマンスにどのように影響するか」を検討することである。平成22年度は、各局面のパフォーマンスにおいて、運動物体に対する認知予測能力に着目した。 これまでの研究において、遮蔽後の運動物体の認知予測局面における特性について、運動物体の移動距離を過小評価する現象を報告した。さらに、その現象が生起する原因についての検討を行い、これまでの検討では、遮蔽後の運動物体の速度表象の低下に起因すると結論づけていた。しかしながら、時刻よそ行く特性に関して、衝突時刻(Time-to-contact)予測の精度が高いことから、速度表象の低下に疑問が生じてきた。そこで、このことを検証するために、実験画像(視覚刺激)をコンピュータグラフィックで構築し、眼球運動測定装置を用い視線移動の状態を測定することにより、物体の遮蔽前の速度認知能力と遮蔽後の速度表象(予測能力)について再検討した。 実験では、脳内での遮蔽物体の速度を検証するために、遮蔽後の運動物体の速度をストライプフロー(縦線の移動)により再現した速度と比較し、速い・遅い・同じを判断させた。また、遮蔽後の物体の運動を視線により追従し、予測課題の有無による視線移動の状態について解析した。その結果、遮蔽後の物体運動に関する速度表象は、遮蔽前の物体運動とほぼ同じ程度に維持されるという結論が導かれた。予測課題実施における移動距離の過小評価については、物体位置の予測地点に視線が停滞する事や位置を予測するために様々な条件が付加される事による注意の分割によるおける処理能力の低下が影響する可能性が検討された。 このような認知・予測能力の特性に関する新たな知見は、訓練項目の検討に際して重要な根拠となる。
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Research Products
(3 results)