2011 Fiscal Year Annual Research Report
大学生に運動習慣を促す初年次教育の試み-ポートフォリオを利用して-
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22500592
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
青木 隆 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (10167786)
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Keywords | 運動習慣 / ポートフォリオ |
Research Abstract |
学生が継続的運動を含めた正しい生活習慣を獲得するには、「自己の運動時間・睡眠時間・食生活と自覚する健康状態を継続的にチェックし、蓄積し、客観的に評価することが、生活習慣や運動習慣の改善につながる」という仮説をたて検証している. 平成22年度は、ポートフォリオの蓄積によって、自己認識が高まり動機づけられていく事柄については、習慣化されるという結論を得た.また、その行動はコメントを付記することによって強く認識され変容することを確認した. 平成23年度は、上記の結果を受けて、正しい生活習慣と運動習慣の獲得のために、ポートフォリオ記載内容の検討を行った.また、体調の変化、体格の変化を数値としてとらえることを達成観と捉え、頻繁にポートフォリオに記録することが、生活習慣や運動習慣の獲得に与える影響を検討した. 大学500名の1年生をアトランダムに5グループ(各100名)に分け課題の有効性を検討した.(1)平成22年度同様週毎の「行動目標、学習内容と時間、食事の規則性、睡眠時間、運動時間、行動目標に照らした自己評価」を行う.(2)(1)に加え月毎で自覚する健康状態をグラフにする.(3)(1)に加え週毎に体重・体脂肪を記入する.(4)(1)に加え週毎に集中力調査(アンケート調査)を実施する.(5)(1)に加えて(2)~(4)を行い記入する.その結果、(1)と比較して最も改善を認めた(3)のグループは、食事の規則性、食事のバランス、睡眠時間、運動時間の全て項目で、自己評価の満足度は1ポイント以上改善した.また、欠食率は13.22%、睡眠時間は24.61分/日、運動時間は19.22分/日多く、統計的にも有意差が認められた.学生の生活習慣や運動習慣を改善するためにはポートフォリオ加え、達成観として体重・体脂肪の記入が最も効率的であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この助成にて、大学生に運動習慣を促すために効率の良いポートフォリオ作成について検討を加えている.これまでの研究で、ポートフォリオの有効性やより行動変容に繋がり易い記載内容について明らかにした.従って、順調に研究計画は進展していると考えている.しかし、本来は、学会誌への投稿や学会発表で成果を明らかにし、議論することで、今後の研究計画を再構築するべきであると考えるが、所属する学会のスケジュール等と照らし合わせて、今年度の投稿や発表になるため、おおむね順調と自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今までは効率的なポートフォリオの作成について、総合的な枠組みの中で捉え検討してきた。平成24年度は、これまでの成果に加え、運動量の変化と体型・運動能力、健康観の多面的な面からの分析を加えることによって、「日常的な行動変容の層」、「記号発生の層」、「価値観変容の層」発生の三層にて解析し分類する。特に目標設定経験と目標設定スキルの獲得の関係、生活の充実感や体力の変化など過去受容と行動変容の関係について分析する。それにより、ポートフォリオによる自己チェックにより、行動変容が起きやすい項目や他の要因が加えられることによって行動変容に影響を与える項目、個人の経験や価値観より影響も含め分類したい。これらの結果を学会や学術誌において、公表するものとする。
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