2010 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代国際オリンピック委員会におけるオリンピックの政治的中立性の形成過程
Project/Area Number |
22500593
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
中村 哲夫 皇學館大学, 教育学部, 教授 (80164317)
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Keywords | 1930年代 / 国際オリンピック委員会 / 政治的中立性 / ナチ・オリンピック |
Research Abstract |
本研究の目的は、1933年1月のドイツにおけるナチス政権誕生から、1940年4月のヘルシンキにおける第12回オリンピック大会の中止までの約8年間を対象に、その間に開催あるいは準備はされたが中止となったオリンピック大会をめぐる諸議論を、オリンピックの理念に関する相剋の過程として分析し、これらの過程が最終的には国際オリンピック委員会(IOC)において、オリンピックの政治的中立性の観念が形成される過程であったことを実証しようとするものである。研究の初年度である平成22年度は、第一に、1930年代を中心としたオリンピック史ならびに国際スポーツ史関係の先行研究の収集と分析、第二には、内外における一次史料の調査と収集に費やされた。前者に関しては、IOCの公式史ともいうべきIOC編「国際オリンピック委員会100年の歴史」(1996年)を初めとする収集した諸先行研究から、1930年代の国際スポーツやオリンピックをめぐる新たな課題は何だったのかについて、1920年代との比較において検討した。また後者に関しては、日本体育協会や野球体育博物館等における国内史料の調査と収集、また海外調査では、オリンピック研究センター(ローザンヌ)において、1930年代のオリンピック運動に関する一次史料の調査と収集を行った。これらの調査成果の中には、第11回ベルリン大会や第12回東京大会およびヘルシンキ大会に関するIOC会長をはじめとするIOC各委員の書簡が含まれており、現在それらの解読と史料間の突き合わせをすすめている。
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