2012 Fiscal Year Annual Research Report
野球選手の投球速度を向上させる体力要素およびトレーニング法の検討
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22500602
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
北田 耕司 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70280378)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 野球 / 投球速度 / 投球動作 / 体力要素 / トレーニング |
Research Abstract |
野球の投球動作を指導する上で、一般的に下半身の強化や動作を中心に指導されることが多い。しかし、筆者のこれまでの研究において、球速が130km/h程度を越えない選手では下半身からのパワー発揮よりも、骨盤からボールリリースに関わる上半身の動作効率が球速に大きな影響を与えている可能性が考察されている。 本研究は、投球動作について下半身を中心に指導をした場合と上半身を中心に指導をした場合の効果の違いを観察し、球速に影響を与える動作について検討を加えることを目的とした。被験者は高等専門学校野球部員(15歳~18歳)であった。ボールは硬式野球ボールを用い、球速はスピードガン(Stalker ProII、 ACI社製)により測定した。被験者を下半身動作トレーニング群(L群)、上半身動作トレーニング群(U群)、コントロール群(C群)に分け、それぞれの指導を行なった。動作トレーニングは毎日行なった。トレーニング1週間後、2週間後、3週間後の球速を測定した。2週間後からの1週間はL群、U群ともに、上半身および下半身動作トレーニングの両方を行なった。投球時の動作を側方および前方からビデオカメラ(HDR-CX7、SONY社製)で撮影し、動作の違いを確認し、検討を加えた。 その結果、L群、U群ともに球速の増加がみられた。両トレーニングの効果の違いに差はみられなかった(L群:3.86%、U群:3.89%の増加)。トレーニング効果は1週間後にみられたが、2週間後以降は見られなかった。投球フォーム改善の変化はL群の方が、U群よりも明確であった。以上のことから、動きが改善により球速が上がったことから即効性があるもの考えられた。更なる動きの改善は体力的要素の関わりが大きいものと推察された。投球フォームの改善はL群の変化が大きく、わかりやすかったことから、下半身を中心とした指導が多くなる一要因と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は投球速度を決定する体力要素を明らかにすること、その体力要素を向上させるトレーニングメニューを開発することにより投球速度の向上を図ることを目的としている。 当初は体力要素が直接的に投球速度に影響しているものと予想していたが,高い相関関係がみられる体力要素は限定できなかった。24年度の研究では,投球動作に着目し,投球動作の改善と投球速度の関係について検証した。その結果,投球動作の改善により即効的に球速が上がったことから、投球速度が投球動作に大きく起因しているものと考えられた。 当初の予想とは異なってはいるが,投球速度を決定する要因が投球動作である可能性が高いことが示された。現在,理想的な投球動作を実現するために必要な体力要素を検証しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、体力要素が直接的に投球速度に影響するものと考え、仮説を立てていたが、投球動作(動き)の要素の方が球速に与える影響が大きいことが明らかになりつつある。体力要素は理想的な投球動作(動き)の実現のために必要な要素であると予想され、その検証を行なう予定である。例えば,投球方向に膝を割らずに大きく足を踏み出す場合,股関節の柔軟性がなければ大きなステップは踏めない。脚筋力があっても,その力を伝える体幹の筋力がなければ効率の良い回旋動作はできない。投球動作と体力要素の関係に着目し,研究を進めていく。
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