2011 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱環境下における脊髄損傷競技者の発汗機能と自律神経、内分泌、免疫応答
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22500610
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
管原 正志 長崎大学, 教育学部, 教授 (20039564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井村 明博 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (10136624)
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Keywords | 脊髄損傷競技者 / 暑熱環境 / 発汗機能 / 体温調節反応 / 発汗量 / 内分泌 / 免疫 |
Research Abstract |
23年度は、温度コントロールチュービングスーツを着用し、温水刺激下での発汗レベルの違いによる体温調節について検討した。 前年の課題で平均発汗量より多かった4名を脊髄損傷競技者N群、少なかった4名を脊髄損傷競技者L群、及び健康な大学生(長距離競技者)の5名を対象とした。人工気象室内条件は、35℃(暑熱環境)、60%RHで60分間安静を保った後、28℃(温度中性域)、60%RHで、温度コントロールスーツを上半身着用後に温度負荷35℃及び40℃の温水をスーツ内に流し、座位安静後、arm cranking ergometerにて60%Vo2maxの運動負荷を30分間実施した。測定項目は、発汗機能と自律神経、内分泌、免疫に関し(発汗量、心拍数、酸素摂取量、鼓膜温、乳酸、ヘマトクリット値、カテコールアミン、好中球の活性酸素産生能、血清総抗酸化能(TAA))を、安静時、運動終了直後、コントロールスーツ脱衣後の回復30分経過時に実施した。 安静時の各測定項目の変化は、脊髄損傷競技者N群・L群と大学生ともにほぼ同様であった。運動時の各測定項目については、35℃暴露の発汗機能と自律神経、内分泌は、脊髄損傷競技者N群と大学生ともに運動、回復において差異を認めなかったが、脊髄損傷競技者L群は劣っていた。また、40℃暴露は、脊髄損傷競技者L群が脊髄損傷競技者N群より発汗機能が劣る傾向にあった。免疫機能は脊髄損傷競技者N群・L群と大学生との差はないが、運動経過とともに増加傾向にあったのは35℃及び40℃で同様であった。40℃での体温調節の感受性や熱産生反応は、脊髄損傷競技者L群が脊髄損傷競技者N群より劣る傾向であり、脊髄損傷が暑熱下運動時の体温調節に影響を及ぼしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スポーツの大衆化に伴い、性別・年齢に関わらずスポーツ活動が日常生活に定着している。それは不慮の事故等で身体にハンディキャップを持つ脊髄損傷者でも例外ではない。しかし脊髄損傷者は、損傷部位レベルにより発汗機能が障害されるためスポーツ活動時の体温調節に影響を及ぼしていた。今後は、本研究の目的である脊髄損傷者の暑熱障害対策についても提言して行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、暑熱適応下での運動場面においての生体反応を検討し、脊髄損傷で車椅子競技者の暑熱環境下での運動時における自律性体温調節反応特性とストレス反応の関係を発汗機能レベルの違いによって明らかにする。そして脊髄損傷競技者に対しての「暑熱障害対策」を提示することで、quality of life (QOL)の向上に繋げたい。
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Research Products
(1 results)